宇沢弘文著
岩波書店, 1974, ix, 180p., (岩波新書 ; 青版 890)
ISBN: 新<9784004110477>, 旧<4004110475>
自動車は現代機械文明の輝ける象徴である。しかし、自動車による公害の発生から、また市民の安全な歩行を守るシビル・ミニマムの立場から、その無制限な増大に対する批判が生じてきた。市民の基本的権利獲得を目指す立場から、自動車の社会的費用を具体的に算出し、その内部化の方途をさぐり、あるべき都市交通の姿を示唆する。
序章 (自動車の問題性;市民的権利の侵害)
1 自動車の普及(現代文明の象徴としての自動車;自動車と資本主義;アメリカにおける自動車の普及;公共的交通機関の衰退と公害の発生;一九七三年の新交通法)
2 日本における自動車(急速な普及と道路の整備;都市と農村の変化;非人間的な日本の街路;異常な自動車通行)
3 自動車の社会的費用(社会的費用の概念;三つの計測例;新古典派の経済理論;社会的共通資本の捉え方;社会的コンセンサスと経済的安定性;市民的自由と効率性;社会的共通資本としての道路;自動車の社会的費用とその内部化)