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“異常”性愛
同性愛、サディズム、フェティシズムなど「異常」とみなされてきた愛の形を、文化的視点や精神分析、遺伝子など様々な角度から考える。
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読書ガイド
 現代社会では、同性愛を「異常」とみなすことは差別と考えられているし、同性愛だけではなく、サディズムであれフェティシズムであれ、それが犯罪行為と結びつくことがないかぎり、「異常」と決めつけることは差別であろう。が、一方で、同性愛やサディズムがマイナーなケースであることは間違いなく、生物学や精神医学などの視点から、そのような事態が起きる原因や理由がどのように説明されているのかは、興味のあるところである。
『異常性愛の精神医学』(小田晋著、ふたばらいふ新書)は、精神医学的視点から「異常」性愛を考察する。前半では、男であることと女であることの違いを生物学的に説明したり、時代とともに変化してきた性の「正常」と「異常」といった社会的な問題を取り上げたりし、後半では、「異常」性愛と性犯罪などの犯罪との関係を考察している。性欲と攻撃性が結びつきやすいのは、性ホルモンの中枢、性行動の中枢、攻撃性の中枢の3つが、人間の場合に脳の比較的狭い部分に隣接していて、一つの中枢の興奮が他の二つの中枢の興奮に移行しやすいためである、というような説明が展開されている。
『逸脱するエロス : 愛と性の精神病理』(森省二著、講談社現代新書)は、肥大化したナルチシズム、妄想と偏執、フェティシズムや倒錯した性的行動などの原因を探る。逸脱を病理ととらえる一方で、「すこやかで豊かな愛と性」の世界があるという信念の下に、逸脱の診断、予防と治療などについて解説している。
『遺伝子の神秘 男の脳・女の脳』(山元大輔著、講談社+α新書)は、遺伝分子学者が、性指向(同性愛か異性愛か)の決定プロセスに迫る。著者は人為的に作った突然変異のショウジョウバエの観察から、同性愛や早漏、男嫌いなどのショウジョウバエを見つけ、その遺伝子を研究することで、性指向を決定するのは遺伝子であることをつきとめる。そこから出発して魚や虫、サルなどの性行動などを参考に、人間の性行動のシステム解明を試みている。「性指向には生物学的根拠がある」「ものの見方の性差」「女と男の見る世界はこんなに違う」「左利きとレズビアン」「ホモセクシャルは母から伝わる?」などなど、刺激的で興味津々の話題に溢れている。
『平安朝の女と男 : 貴族と庶民の性と愛』(服藤早苗著、中公新書)は、女性史的視点から文献と研究書を基に、平安朝の男女の性の実態を描いた書。第3章の3節「男色の成立とひろがり」で、同性愛に触れている。詳細な男色関係を日記に書き残した藤原頼長の記録が検証されるが、男色関係が院政時代の政治に強い影響を及ぼしていたなど、興味深い指摘が多い。が、プラトンの『饗宴』を引き合いにして、男色の成立は、男性にとって女性は子供を産む生殖器に過ぎず、真実の愛を探求しあう相手ではなかったためとし、家父長制的性関係が貴族社会に浸透してきた院政の時期に同性愛花盛りとなった、とする説明には、説得力があまりない。事実、この書の中でも、日本での男色の資料上の初見は『日本書紀』であり、同性愛はタブーであったと記されている。タブーであったということは、院政期のずっと前からそれぐらいたくさんあった、ということではなかろうか? ともあれ、「異常」性愛とは無関係だが、古代の男女のまぐあいの仕方や、男女平等から男性支配へと移る性意識の変化、性器呼称の変遷など、興味深い記述に溢れた書である。
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