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反米、嫌米
軍事、経済で世界をリードするアメリカ。他国、他地域への介入、こうした行為のもとにあるアメリカの倫理観、世界観に対しては、独善的であるとして反発も起きている。アメリカ型資本主義の拡大によるグローバリゼーションへの反発、忌避も含めてアメリカはどうとらえられているのか。
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読書ガイド
 第二次大戦後、アメリカは旧ソ連と世界の軍事的勢力を二分したが、この過程で、旧ソ連同様自らの陣営のために、ときに帝国主義的な行為に出て、世界のいたるところで反米感情を誘うことになった。さらに冷戦構造の崩壊とともに、相対的により軍事力が高まると、アメリカはその経済力をも背景にして、他の国とは比較にならないほどの力をもつようになった。加えてアメリカ型の経済、ビジネス・パフォーマンスが世界中に広まると、自国経済を保護するため各地で反発も生まれている。
『アメリカはなぜ嫌われるのか』(桜井哲夫著、ちくま新書)は、ヨーロッパから独立、派生しながらも、旧大陸の因習にとらわれない自由で平等なアメリカに対して、ヨーロッパの思想家たちが、アメリカの何にあこがれを感じ、何を奇異に感じ、何を嫌悪したかについて触れる。
 アメリカに渡り、現地での体験をもとに考察したアメリカ論の原点とも言われる『アメリカにおける民主主義』で有名なフランス人、アレクシス・ド・トクヴィルをはじめとして、マックス・ウェーバー、マルクス、ヘーゲルなどによるアメリカ観を紹介していくことで、アメリカ像を浮かび上がらせる。アドルノやハンナ・アーレントといった亡命者のアメリカ観も興味深い。また、本書では日本人のアメリカ観の変化、複雑な感情、そこから導き出されるあるべき国家としての在り方を、江藤淳らの思想とともに紹介し、これとは異なる著者の立場をわかりやすく述べる。
 軍事力を背景に他国へ介入し、自らの信じる倫理で武力行使も辞さないとするアメリカの「帝国化」について、批判的に論じたのが『デモクラシーの帝国 : アメリカ・戦争・現代世界』(藤原帰一著、岩波新書)。ハリウッド映画に見られる「正義の戦争」感覚なども例に出してアメリカ的なものの見方にも触れる。特にイスラム原理主義との関係、中東諸国の事情を論じ、アメリカがこれらの諸国・地域から反感を買う理由を論じたのが『憎まれるアメリカの正義 : イスラム原理主義の闘い』(小山茂樹、立花亨著、講談社+α新書)。アメリカが独善的な政策をとってきたことが印象づけられる。
 軍事力は、政治的な必要性だけでなく利権のからむ産業の側からの必要性もあることを、政府高官と軍需産業幹部との関係を精緻にとらえた『アメリカの巨大軍需産業』(広瀬隆著、集英社新書)は教えてくれる。見方を変えれば、巨大な「死の商人」というアメリカの軍需産業の側面を知ることになる。『ハイエナ資本主義』(中尾茂夫著、ちくま新書)や『長期停滞』(金子勝著、ちくま新書)からは、アメリカ型の資本主義がもたらすグローバリゼーションについての問題点を通して反米意識の原因の一端を知る。
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