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ワールドカップの日韓共催でサッカー人気が沸騰したとはいえ、日本のメジャースポーツはまだまだ野球である。サッカーファンには異論も不満もあろうが、まあ、なんというか、ひとことで言ってしまえば、歴史が違うのである。
野球といえばやはりプロ野球である。そのプロ野球の魅力を余すところなく伝えているのが『最強のプロ野球論』(二宮清純著、講談社現代新書)である。冒頭、二宮は「スポーツとはドラマではない。スポーツの真実はミリ単位の技術の中に宿り、そこにこそ英知が秘められている」と言い切り、それが著者のスポーツ観のすべてである。指が短かったためあまり曲がらないカーブを武器に三振の山を築いた江夏の技術、前足を踏み込んで打てるイチローの打撃術、バッターボックスに入る前から駆け引きが始まっている怪物松坂対天才イチローの名勝負などなど、他にも俎上に載せられるのは、松井、前田、野茂、吉井など錚々たる面々ばかり。職人好きには堪えられない伊原春樹のサードコーチ論まである。
説得力があるのは、どれも徹底した取材に基いた野球論であるからだ。練習にまで足を運び、選手の成長や変化を観察し続け、さらにはコーチや対戦相手を取材し対象を丸裸にする。圧巻は、史上最強の打者と投手についての論考である。データと対戦相手や捕手、審判の証言などをもとに論じる。打者では戦前の影浦、戦後の大下、2リーグ制になってからの中西の名が残る。プロ野球ファンなら興奮を禁じえない内容の濃い分析である。
日本選手の活躍でメジャーリーグは身近なものとなった。かつて日本で活躍した多くの元大リーガーたちは、日本でやっているのはベースボールではないと、日本人には意味不明のことをよく言ったものだが、『ベースボールと野球道 : 日米間の誤解を示す四〇〇の事実』(玉木正之, ロバート・ホワイティング著、講談社現代新書)は、そのベースボール(以下Bと記述)と野球の違いを論じた名著である。二人は、日本人はBというスポーツに精神の練磨という武術の教養を持ち込んだと論じるのだが、その理屈よりも具体的な比較が面白い。いわく「野球はBより敬遠が圧倒的に多い」「Bは野球より三球三振が圧倒的に多い」「Bではプレイヤーというが野球では選手という。選ばれた人なのである」「Bプレイヤーは上半身が強いが、野球選手は下半身が強い」「野球では精神力を重視するが、Bでは集中力を重視する」「Bでは成績が悪いとマネージャーは解雇されるだけだが、野球では辞任という形をとって監督の顔を立てる」などなど、取り上げればきりがないが、それぞれの事実はそのまま立派な日米の比較文化論になっている。
『メジャーリーグVS.日本野球 : スウィング理論の冒険』(大村皓一著、講談社現代新書)は技術論から日米の野球の比較を、『日米野球史 : メジャーを追いかけた70年』(波多野勝著、PHP新書)は、日本に野球が伝えられてから現在までの日米の野球の交流の歴史をとりあげている。
『プロ野球ビジネスのしくみ』(小林至, 別冊宝島編集部編著、宝島社新書)は、プロ野球にビジネスの光を当て、プロ野球球団の経営の実態を解説する。ダイエーの成功の秘密を詳細に検討して、過渡期にあるプロ野球ビジネスの将来を考えるのだが、ダイエー球団のビジネス哲学は、球団経営に留まらず、あらゆる娯楽ビジネスの教科書となりうる。
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