テーマで探す新書ガイド 新書マップ BOOK MAP web magazine [ 風 KAZE ]
>>新書マップ検索画面へ戻る
テーマ Theme
テーマ Theme
ビール
世界各地のさまざまなビールの銘柄、特徴についての紹介。美味しいビールの条件について。ビールの作り方や地ビール製造の職人的仕事についても触れる。
関連書籍を探す
読書ガイド
 1994年、細川政権が出した規制緩和政策の目玉として、地ビールが解禁された。それまで年間2000キロリットル以上を製造販売できなければ参入できなかったのだが、この緩和でその数値が一気に60キロリットル以上と変更されたのだ。それを機に、4大メーカーとオリオン(沖縄)のみという寡占状態であったビール産業に新風が吹き、全国各地に相次いで小さな醸造所ができた。
 日本の大メーカーの作るビールは、大量生産大量消費に適したピルスナータイプのものばかり。同じものを作っては値段で勝負にならない地ビールメーカーは、競って他のスタイルのビールを出し始めたのである。こうした流れを受けて、これまでは論じられることもなかったビールに関する新書が、相次いで出版されるようになった。
 日本初の地ビールメーカー社長による『ビールを愉しむ』(上原誠一郎著、ちくま新書)。著者は新潟の造り酒屋に生まれ、ヨーロッパで13年も過ごした。その間、日本とはまったく異なる多様なビールの世界に魅力を感じたという。帰国後、規制緩和の動きをいちはやくキャッチ。「とりあえずビール!」という日本でのビールのポジションを変えようと、自らビール製造に着手した。同書では、ヨーロッパとアメリカのビール製造・販売事情、自社での製造過程、世界に数多あるビールの特徴の紹介など、多岐にわたって解説している。
『ビールの力』(青井博幸著、新書y)は、アサヒビールの宣伝コピーと同じタイトルのために誤解する人もいるかもしれないが、アサヒとは全く無関係。著者は脱サラして地ビール会社を興した。この本でもやはり旅をして知った海外ビール事情、製造過程などが紹介されているほか、さらなる規制緩和等について日本政府に提言もしている。2冊とも、ようやく日本でも生まれつつある「ビール文化」の向上を目指すものだ。
 ひとつの国のビールを深く掘り下げる本もある。日本の12分の1という面積ながら、軽く1000を越える銘柄があるベルギーは、ビール大国ではなくビール芸術国なのだとか。ビアテイスターでビール評論家の著者が『ベルギービールという芸術』(田村功著、光文社新書)で、その魅力を雄弁に語る。野生酵母さえも手なずけて作られる逸品の数々。「同じ味のビールは二つとない」という言葉通りの世界が、そこにはあるのだ。
 ドイツ政府観光局での勤務経験がある著者による『もっと知りたい!ドイツビールの愉しみ』(相原恭子著、岩波アクティブ新書)を読めば、ビールを通じて彼の国の文化を深く知ることができる。「日本人と似ている」と見られがちなドイツ人だが、ビールとの関わりを知るだけで、どれだけ大きな相違点があるのか鮮明になる。また同書はカラー写真も豊富に掲載され、旅の書としても楽しめる。
 キリンビール技術開発部門の中枢で働き、「ハートランド」「一番搾り」を開発。定年後に地ビールメーカーの醸造長に就任した職人が、ライターの質問に答える体裁を取る『ビール職人、美味いビールを語る』(山田一巳、古瀬和谷著、光文社新書)。職人らしい朴訥とした語りには、好感が持てる。が、ほぼ全編が語り言葉で展開されるため情報量が少なく、スカスカの印象は免れない。また語られる内容のほとんどが、キリンでの思い出話。タイトルから期待するイメージとは異なっている。
『ビール大全』(渡辺純著、文春新書)の著者は、B級グルメ原稿の執筆経験豊かなライターである。無類のビール好きが昂じて、世界各国を旅して飲みまくった成果が本書。ビールに関する蘊蓄と紀行の面白さがうまく融合している。文章のレベルが他の書籍とは明らかに違うので、一気に読み進める。
ウインドウを閉じる
<< PAGE TOP