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生命倫理
臓器移植、遺伝子治療、不妊治療、延命処置など高度医療がもたらした新しい生の形の是非を考える「生命倫理」について様々な角度から解説。
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読書ガイド
 バイオテクノロジーとバイオメディシンの登場により、現代人はこれまで経験したことのなかった倫理的難問を突きつけられている。脳死臓器移植、クローン人間、生殖技術、安楽死などがその具体例である。いままさに死んでいこうとする人の体から、それを死者と見做して、心臓や肺を取り出してよいのか?遺伝子を操作して病気の治療を行うことは妥当なことか?遺伝子診断を施した胎児に遺伝病が見つかった場合、それを理由に人工妊娠中絶することが許されるのか?クローン人間を生まれさせてよいのか?性同一性障害とは脳と肉体のどちらが異常な状態なのか?--先端技術の出現によって新たに登場したこうした現代の諸問題に、簡単に答えを見つけることはできない。
 バイオエシックス(生命倫理)とは、そうしたバイオテクノロジーとバイオメディシンの内包する倫理的な諸問題について、社会的な意思決定のあり方を創り出そうとする学問である。『バイオエシックス』(米本昌平著、講談社現代新書)は、科学史を専門とする著者が、バイオテクノロジー(生物技術)とバイオメディシン(生物医療)の発展の歴史を客観的、具体的に振り返りつつ、それらが、どのような問題を孕んでいるのかを丁寧に提示したバイオエシックスの入門書である。入門書だからといって分かりやすいわけではない。バイオエシックスが誕生した歴史的経緯を、専門的な領域に踏み込み、詳しく解説している。『脳死・クローン・遺伝子治療 : バイオエシックスの練習問題』(加藤尚武著、PHP新書)は、現在、私たちが直面しているバイオエシックスの諸問題について、具体的な論考を示しつつ複雑な論点を整理し、脳死、臓器移植、性転換手術、不妊治療、クローン人間、安楽死、人工妊娠中絶、遺伝子治療といった、その是非が問われる問題について、それを社会が法的に規制することが適当であるといえるかどうかを詳細に検討している。一方、森岡正博著の『生命観を問いなおす : エコロジーから脳死まで』(ちくま新書)は、生命倫理と環境倫理の今日的問題について、従来の論点を踏まえつつ、それを乗り越える視点として「生命学」という考え方を提示し、著者独自の考えを紹介している。
 最後に、生命倫理が扱う問題について個々に詳しく論じたものを紹介しておく。『脳死と臓器移植法』(中島みち著、文春新書)は、移植医療の現場と臓器移植法制定の過程を取材した著者が、脳死臓器移植の問題を批判的に解説。『不妊治療は日本人を幸せにするか』(小西宏著、講談社現代新書)は不妊治療の実態を踏まえ、問題提起をする。『リビング・ウィルと尊厳死』(福本博文著、集英社新書)と『安楽死と尊厳死 : 医療の中の生と死』(保阪正康著、講談社現代新書)は、それぞれ尊厳死の安易な導入に警鐘を鳴らす立場から、その実態や歴史的経緯を紹介しつつ、解説。『遺伝子改造社会あなたはどうする』(池田清彦, 金森修著、新書y)は、遺伝子操作と遺伝子による人体改造の可能性が現実味を帯びてくる近未来の社会を予想しつつ、その問題点を語り合う。
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