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言語の発生
ことばがどのようにして生まれたのかについては、古来、さまざまな人々が頭を悩ませ、さまざまな説が唱えられてきた。フッサールやウィトゲンシュタインのように哲学からアプローチするものもある。しかし、近年、脳科学の発展によって、大脳生理学レベルでの言語の発生がしだいに明らかになってきた。
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読書ガイド
 なぜ人は「言葉」を話せるのか、そしてそれは人間にだけ与えられた特権なのだろうか。また私たちが言葉を使えるようになるそのプロセスは、自分自身が体験していることでもあったはずなのに、よくわからないことも多い。
 言語を操るという能力は、きわめて高度で複雑なことであるにもかかわらず、子どもたちは日々の生活の中でいとも簡単に言葉を身につけてゆく。幼児たちのあの言語獲得能力があれば、外国語の習得も苦労はないと思えてくる。その秘密はなんなのかというテーマに発達学、言語学そして生理学が挑んでいる。特に言語学ではチョムスキーの生成文法理論以降、さまざまな議論が積み重ねられ、言語の本質を探ろうとしている。
『言語を生みだす本能』(スティーブン・ピンカー著 ; 椋田直子訳、NHKブックス)は、上下巻とボリュームがあるが、この問題を言語学から脳生理学まで網羅的にとらえている。私たちが言語に対してもっている数々の「誤った見方」も指摘されていて、飽きずに読みすすめられる。解説も丁寧で生成文法に関する議論などの「言語、言語学」への入門書としても好適だ。
 これと同様に『ヒトはなぜことばを使えるか』(山鳥重著、講談社現代新書)も網羅的にとらえ、特に大脳と言語の関係という観点からこの領域を知る導入として読むのにちょうどよいだろう。
 脳の情報処理、脳科学からアプローチしているのが『言語の脳科学』(酒井邦嘉著、中公新書)。言語情報処理の主役である脳のはたらきを、認知科学という領域から解明している。人間がどのように言語を処理するのかに光をあて、生成文法論や人工知能の言語処理まで過不足なく解説している。
『0歳児がことばを獲得するとき』(正高信男著、中公新書)は生まれたての0歳の子どもに焦点をしぼり、生理学や発達論、また母子コミュニケーションなども含んで論じたもの。まさに人間が言語を獲得し始める瞬間について斬新な角度から考えさせられる。育児中の方の参考にもなろう。
『子どもはことばをからだで覚える』(正高信男著、中公新書)は、『0歳児が〜』の続編とでもいうべき1冊。ここでは「言語」にとどまらず「音楽」の発生までを発達論の研究から考察していて興味深い。
 この領域に真正面からとりくむにはまず『言語を生みだす〜』でじっくりと知るか、『ヒトはなぜ〜』で全般的な知識を得て、さらに『言語の脳科学』で認知科学領域も学ぶ方法がある。また『0歳児が〜』で驚きを味わいながら考え始めてゆくのもよいだろう。
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