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血液と血管
分子・遺伝子レベルでの研究が進むなか、より明らかになってきた血液や血管の構造、はたらき。血液と血管にまつわる病気やその治療法についての基本的な知識。血液の健康について留意すべきこと、血液を「サラサラ」にするには、など。
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読書ガイド
「人は血管から老いる」と言われる。動脈硬化症は高齢者に多く、高齢化が進むほど血管の健康を守ることが社会的にも大きな問題になると見られている。血管の異常がどう具体的に病気に関わるか知りたい人には、『血管の病気』(田辺達三著、岩波新書)が総合的に解説されており読みやすい。血管の構造や機能に始まり、どんなふうに血管が詰まったり膨らんだりするのか、動脈硬化による病気だけでなく血管炎や血管外傷など、さまざまな血管の病気の起こる仕組みを具体的な症例を交えて説明。専門的な用語も多いが、血管外来で行われる検査や診断法、血管の健康を守るための生活改善など、血管を取り巻く事柄にまんべんなく触れている。
 血管の病気の中でも、高血圧によって引き起こされる脳卒中や心臓病などが気になる人には、『血圧の話』(尾前照雄著、岩波新書)が分かりやすい。平明な文章で、そもそも血圧とは何か、なぜ高血圧になるのかという疑問に答えるところから始まっている。一口に「高血圧」といっても原因はいろいろあることや、高血圧がどう作用して病気になるのかというメカニズムを丁寧に解説。降圧薬の副作用、食事や運動の大切さなど治療と予防についても詳しくアドバイス。
『考える血管』(児玉龍彦・浜窪隆雄著、ブルーバックス)は、血管を手がかりに進められている分子・遺伝子レベルの研究を紹介した本で、生命科学に興味のある人に薦めたい。がん細胞が増殖する際、がんの部分に向かって周囲からたくさんの血管が伸びてゆくこと、血管の細胞が周囲の細胞と相互に情報をやり取りして働く仕組みなど、体のパーツの1つと考えられてきた血管が、実は自立性をもった興味深い存在だと目を開かれる思いだ。研究者の日常もさらりと描かれ、読み物としても楽しめる。
『血液6000キロの旅』(坂井建雄著、講談社選書メチエ)も、血液循環を通して人体をとらえ直した生命科学の本と言える。最新の研究紹介というよりは、古代の生命観や近代の医学史も踏まえた教養書という感じだ。循環器、呼吸器、消化器、泌尿器と順を追って、人体の不思議を手堅く解説しており、巻末にはもっと知りたい人のための参考文献も付いている。
 血液の流れやすさを表す「血液サラサラ」という語はすっかり定着した感があるが、『血液をサラサラにする生活術』(菊池佑二著、講談社+α新書)は、この言葉の発案者とも言える画像診断機器の開発者による著書だ。毛細血管と同サイズの微細な間隔を流れる血流の様子をモニター画面で拡大する機器を、TV番組で見た人も多いだろう。血液の流れを悪くする生活要因や、血液の流れをよくする食品を紹介した実用書だが、赤血球の変形能など血液循環の基本的知識についても押さえてあり、面白く読める。
 同じ著者と臨床医の対談『血液サラサラで病気を防ぎ治す』(菊池佑二・栗原毅著、講談社+α新書)は、検査値に異常が表れる前の「未病」の段階を血液循環から予測できるなど、症例との関わりが興味深い。
『血液の話』(三輪史朗著、中公新書)は、血液を構成する血球ごとの特徴や働き、血液の病気の仕組みが丹念に書かれている。輸血の問題などにも触れているが、初版が88年であるため、HIV感染やDNA解析に関する部分が若干古いのが惜しまれる。
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