骨はきわめて鈍い臓器であると思われているが、じつは驚くほど活発に働き、大切な役割を担っている。二本足歩行をする人類は四足動物よりも骨に対する負担が重い。さらに平均寿命の延びが骨粗鬆症に代表される骨の病気を生み、骨への負担を極限まで追いつめている。しかし、これらに対処する方法はある。
『骨の健康学』(林泰史著、岩波新書)は、骨の活躍を語り、長寿社会で健康を維持するためのさまざまな方法を紹介する。「骨の健康学」「骨は生きている」「骨を溶かす細胞、つくる細胞」「骨はカルシウムの貯蔵庫」「骨粗鬆症の治療と予防」など、骨に関するアウトラインをわかりやすくガイドする。骨の役割は大きくわけると3つある。脳や心臓など大切な臓器を保護すること、背中や手足の奥での支持作用、そして全身の血液へカルシウムを供給するための貯蔵作用だ。
特に骨とカルシウムとの関係は一般にも関心のあるところだ。本書によれば、大人には約206個の骨があるといわれ、それらはカルシウムとコラーゲンでできている。男性でおよそ1000g、女性で700〜800gのカルシウムを骨のなかに蓄えているが、骨は血液中のカルシウム濃度を一定に保ち、からだの中がカルシウム不足に陥ると、骨は自分の身を削りカルシウムを放出する。骨の細胞は生きて働く細胞なのである。それも、壊す役割の破骨細胞と作る役割の骨芽細胞と居眠りしている骨細胞の3つがセットで働いている。
骨折したときは、骨芽細胞が猛烈に働き、折れた骨をもとの状態に修復してくれる。本書の中での図解を交えての骨芽細胞活躍の描写は感動的でもある。
老人となり、体のなかのカルシウムが不足してくると今度は暴れん坊の破骨細胞がわが身をバリバリ削る。それが骨粗鬆症の原因にもなる。骨粗鬆症はカルシウムを含む食品をたくさん食べ、運動をすること(ウォーキングや重いものを持ち体に負荷をかけること)でかなり予防できるが、もっとも効果的なのはカルシウム剤とビタミンD剤を継続的にとること。そうすれば骨量はあまり減らず、長寿時代の厄介な病、骨粗鬆症もそれほど深刻にならずに乗り切れるようだ。
同様の視点から書かれたものが『自分の骨のこと知ってますか』(桜木晃彦著、講談社+α新書)。本書は、全身の骨のかたちから始まり、なぜ人間に骨があるのか、骨がからだを守る、骨からわかるヒトのからだ、骨に刻まれた進化の秘密、など骨の隠された役割を詳述する。
骨とセットになり、骨を支える大切な役目を担っている関節。『関節はふしぎ』(高橋長雄著、ブルーバックス)は、毎日毎日動かしつづけてもけっして擦り減ることもギシギシと音をたてることもない人間の関節についてガイドする。関節の構造やふしぎな動きはどんな仕組みにささえられているのか、骨をつなぐ蝶番としての関節の基礎医学や関節の種類、関節のケガや疾患の対処法まで、関節を「皿とだんご」にたとえるイラストなど多数の図版をまじえて一般の読者にもわかりやすいように工夫してある。
『骨と骨組みのはなし』(神谷敏郎著、岩波ジュニア新書)は、恐竜の化石骨格を中心にして、雄大な生物進化史上で展開されてきた脊椎動物の進化の自然史を探索する。動物の骨の形と構造から動物の履歴書を読む試み。
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