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うつわ、陶磁器
辻留三代目と魯山人との出会い、海を渡った日本独特の漆芸技法・蒔絵、中国陶磁に秘められた焼き物文化の世界、海のシルクロードから世界に広がっていった中国陶磁器などについて。
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読書ガイド
 毎日、使う茶碗や皿などの食器は、陶磁器のなかでも最もなじみが深い。ながめて鑑賞するのではなく、実際の生活でどう楽しめばよいのか。日本が誇る食文化は、もうひとつの優れた日本文化である器によって支えられている。
『魯山人と辻留器にこだわる』(辻義一著、講談社+α新書)は、魯山人を知る人だけでなく、入門者にもすんなり入っていける本だ。日本の名門料亭「辻留」の三代目である筆者が、青春時代に修業した師・魯山人を間近に見た経験を通して、彼の料理と器の真髄をエッセイ風に記している。
 芸術家、美食家として知られる魯山人は、「器は料理の着物である」という言葉を残しているという。<ただ寒さをしのぐ役目をするのではなく、着ることによってその人の個性を際立たせたり、より美しく見せるもの>といい、器は料理を引き立てるためにあるのだ、と説く。
 魯山人の美意識だけでなく、<浅い大皿は、焼き物や果実の盛り合わせに><長方形の皿に脚がついた俎皿(まないた・ざら)は、丸型が多い和食器のなかで、大きく、長く、豪快な造形はひときわ目をひき・・・ひとつ持っていれば、重宝するでしょう>といった、明日からでも応用できそうなヒントが満載されている。
『「うつわ」を食らう:日本人と食事の文化』(神崎宣武著、NHKブックス)は、日本人は何をどう食べてきたかという食卓の移り変わりをさかのぼって、食事・食器文化のかたちを明らかにしようと試みたもの。筆者は台所用品店が集中する合羽橋を訪ね、このごろ売れ筋の飯椀が、旧式の半球型に比べてふくらみが少ない平型になっていること、容量が減っていることを突き止めるのだが、ここは推理小説のようでおもしろい。昔の飯椀のほうが安定がいいのはなぜか。筆者は<以前はワンをしっかり手に持って口まで運ぶ食事作法の必然があり、最近はその必然が薄らいできた>と推測する。 天丼やウナ丼など、いわゆるどんぶり物は、単身赴任の武士や足軽、商人、職人など、男性人口が極端の多い町であった江戸で屋台物(いまでいうファストフード)として生まれた、などなど、興味深いエピソードも紹介されている。
『やきもの文化史:景徳鎮から海のシルクロードへ』(三杉隆敏著、岩波新書)は、30年にわたって中国やイランをはじめ世界50カ国を、やきものを訪ねて回った紀行を集めたもの。同じく、やきもの文化の世界的広がりを教えてくれるのが、『陶磁の道:東西文明の接点をたずねて』(三上次男著、岩波新書)。エジプトやトルコ、アフリカ、東南アジアなどを歩いて、中国から輸出された宋の青磁や白磁、元・明の染付の行方を追いながら、陶磁というグローバルな文化のなりたちを解き明かす。
『「陶芸」の愉しみ : 土と遊び、土と対話する極上の時間』(野田耕一監修、プレイブックスインテリジェンス)は、自分で陶芸を始めてみたいという初心者向けの解説書だ。土の選び方やロクロ、釉薬(ゆうやく)の使い方といった基本だけでなく、黄瀬戸(きせと)、志野(しの)、織部(おりべ)など、日本を代表するやきものについての基礎知識も入っていて便利だ。
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