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子どもの脳
脳の発達と老化の基本的なしくみを知り、発達段階にある子どもの脳について考える。近年話題となっているLD(学習障害)・ADHD(注意欠陥多動性障害)とは何か、テレビゲームが脳に与える影響など、脳科学に基づく、現代の子どもの脳の健康と危機を考える。
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読書ガイド
 人間のからだのなかでも、脳は最後に残された謎の多い、かつ最先端の研究分野だ。そのなかで近年、子どもの脳をめぐる分析が多方面から進められている。
『ゲーム脳の恐怖』(森昭雄著、生活人新書)は、テレビゲームが子どもたちの脳に与える悪影響を明らかにして、話題を呼んだ1冊。脳神経科学の専門家である著者は脳波データの解析により、テレビゲームへの熱中度が高いほど、前頭前野(前頭葉の前側に位置する)からでるβ波が低下することを「発見」。Β波は大脳皮質が活動しているときに出現するが、それが低下していることは、理性や創造性をうむ場所である前頭前野の脳細胞活動が低下していくに等しい。著者は、いったん「ゲーム脳」になると、人間らしい理性をコントロールする力も失われると警鐘を鳴らす。
 一方、多動性障害や学習障害、アスペルガー症候群など、子どもの心と脳の関係を分析したのが『アスペルガー症候群と学習障害:ここまでわかった子どもの心と脳』『「多動性障害」児:「落ち着きのない子」は病気か?』(いずれも講談社+α新書)。小児神経学を専門とする著者の榊原洋一氏は、臨床現場で数多くの発達障害児の医療に携わってきた経験をもとに、その解明に挑む。前者では、今いちばん注目されているアスペルガー症候群と学習障害の症状や原因を探り、あいさつや他者とうまくつきあっていく能力「ソーシャルスキル(社会技能)」の欠落に着目、望ましい対処法をあげる。後者の『「多動性〜』では最先端の治療法を紹介。また、キレル子、集中できない子・・・など、増加するガマンのできない子たちが「多動性障害」としてひと括りにされることに疑問を呈する。著者によれば、これらの「多動」の子は昔から存在し、増えているわけではないこと、原因は乳幼児期のしつけや子育てにあるのではなく、「脳の機能障害、たぶん神経伝達物質の作用に関係している可能性が高い」という。その上で、治療薬リタリンの有効性の疑問にも答える。
 知的には遅れがないのに学習に何らかの困難を示す「学習障害」の子どもを取り上げたのが『学習障害(LD): 理解とサポートのために』(柘植雅義著、中公新書)。子どもの多様な特徴を生かした学習援助の必要性、教師、親、地域への的確なアドバイスと、求められるサポート体制を提案する。
 学習障害や多動性障害は診断基準があいまいで、それが新たな誤解や偏見をうんでいる状況がある。『LD・ADHDは病気なのか?』(金澤治著、講談社+α新書)は、個性としてとらえられてしかるべきものがLD、ADHDと診断されて「脳の病気」とされがちな現状に目を向け、本当の診断基準から治療法を解き明かす。
 これらとやや論調を異にするのは『子どもの脳が危ない』(福島章著、PHP新書)。精神科医の著者は、「こころの病気」の原因のひとつとして、胎・乳児期における環境ホルモンの摂取が影響していると独自の推論を展開する。なお、多発する衝撃的な少年非行も脳の異常に原因を見つけようとする著者の分析には、専門家の間で疑問を投げかける声もある。また、『学校を捨ててみよう!:子どもの脳は疲れはてている』(三池輝久著、講談社+α新書)は子どものこころを蝕む原因は学校にあると展開している。
 なお、脳のしくみについて最新科学を知りたいなら『脳のしくみとはたらき』(クリスティーヌ・テンプル著、朝倉哲彦訳、ブルーバックス)が詳しい。スコットランド生まれの新進気鋭の神経心理学者、テンプル氏が脳と心の謎に迫る。
 このほか、赤ちゃんの脳に注目した『赤ちゃんと脳科学』(小西行郎著、集英社新書)、心理学だけでなく脳科学も取り入れた学習法・発想法を試みる『脳力を伸ばす学び方』(高井高盛著、ちくま新書)もある。
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