停滞が続く日本経済とは対照的に、20年以上にわたる経済成長で世界における存在感を増している中国経済。その先行きについて極端な脅威論や悲観論が錯綜している今こそ、冷静に現状を知る必要があるだろう。
『現代中国の経済』(小島麗逸著 岩波新書)は1949年の中華人民共和国成立から鄧小平死去、香港復帰のあった1997年までの中国経済50年史。共産党政府初期の経済政策とその行き詰まり、1979年以降の経済改革、そして社会主義市場経済への移行の様子が描かれている。
『沸騰する中国経済』(田代秀敏、賀暁東、英華著 中公新書ラクレ)は中国の高度経済成長の実態をさまざまなデータに基づいて分析し、低い労働生産性や資源・エネルギーの浪費、環境破壊などの問題点を指摘。とくに増大する金融リスク、国有企業改革についてはそれぞれ一章を割いて詳しく論じている。
日本から中国への生産移転の現状と電機、自動車、ITなど主要産業の比較分析から中国産業の強みと弱みを明示しているのが『中国経済 真の実力』(森谷正規著 文春新書)。かつて圧倒的な強さを誇った日本の電機産業が国際競争力を失っているのに対し、自動車産業は相変わらず強い競争力を持ち続け、トヨタやホンダ、一時は倒産の危機に瀕した日産も好調な業績を維持している。この違いは技術の違いの本質によるものであり、ここに日本が技術力を発揮するヒントがあると著者は語る。中国経済に関して表層的な議論がはびこるなか、本書は中国と日本の産業構造の冷静な分析に基づいて、日本企業が進むべき方向性を指し示している点で大いに評価できる。
中国経済の成長で日本との人・物・金の交流が活発化しているが、それと比例してトラブルや摩擦も増加している。『中国ビジネスと情報のわな』(渡辺浩平著 文春新書)は2000年から2001年にかけて相次いだ日系企業のトラブルをレポート。日本ではあまり報じられなかった日本航空や東芝、三菱自動車が直面したトラブルの詳細とその背景にある消費者意識の過剰な高まりや扇情的に問題を煽る現地メディア、愛国主義や日本企業の広報体制の拙劣さ等々が明らかにされていて、文化論としても興味深い。
『日中ビジネス摩擦』(青樹明子著 新潮新書)も中国ビジネスにおいて日本企業が直面したトラブルを伝える。
『中国経済は成功するか』(渡辺利夫著 ちくま新書)は現代アジア経済論の専門家による中国政治経済の分析。『カネと自由と中国人』(森田靖郎著 PHP新書)は社会主義市場経済により従来と価値観が変わった「ポスト天安門世代」のルポ。『中国路地裏物語』(上村幸治著 岩波新書)は市場経済化政策で変わる人々の暮らしを描いている。
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