私たちの生活には色があふれている。赤、青、黄色の色とりどりの花々、食欲をそそる色彩豊かな食材、美しい芸術、文化に至るまで、色が人々に及ぼす影響は大きい。赤は情熱の色、白は純粋、潔癖の色など、色の持つイメージはどうやって決められたのだろうか。国や文化によって色のイメージは違うのか。色は、光と物体と知覚がそろって初めて存在する感覚的なものである。だからこそ、その存在と意味をあらゆる角度から考えることで、色彩の裏にある世界の歴史や人々の意識が見えてくる。
『色彩の世界地図』(21世紀研究会編、文春新書)は、色彩に隠された民族、国家の歴史をひも解く書。世界の人々が色とどうかかわってきたかについて、多様な文化を理解する試みでまとめている。本書は「古代エジプト人にとって白は光や輝きをあらわすものだった。黒は闇や夜だけでなく、ナイル川の氾濫によって運ばれてきた土の色、つまり黒は生命力を象徴する色とも考えられた」など、各国による色の意味を考察している。世界の国旗と色との関係については、「建国の精神、国民総意の希望、歴史、宗教や思想、自然環境などが、色や模様、またその組み合わせで表現されている」ことをそれぞれ説明。また、イスラム世界の緑の意味と歴史、ウエディングドレスはいつから白くなったかなど、色彩にまつわるエピソードも掲載。「色のイメージは各民族が育んできた文化そのものだ」ということを伝えている。
歴史的事象も含めて、近現代の日本の色彩をテーマに色の意味を考える『色彩のヒント』(柏木博著、平凡社新書)は、「若さの色としての青」、「音楽のジャンルとしての青」など、代表的な各色についての説明と関連する事柄の意味を分かりやすくまとめている。色彩研究を発展させた偉人の貢献を歴史的に紹介するのは『色彩心理学入門:ニュートンとゲーテの流れを追って』(大山正著、中公新書)。実験的事実に基づく色彩の科学的研究の基を築いたニュートンとゲーテの「色彩論」など、色彩学の発展史をたどっている。
『色彩の心理学』(岩波新書)と『色彩の科学』(岩波新書)は、ともに金子隆芳著による心理学的色彩論。前者は代表的なゲーテ、シュヴルール、カッツの色彩学を中心に紹介、後者は色彩の世界を物理学・心理学両面から論じている。
『日本の色を染める』(吉岡幸雄著、岩波新書)は、日本の色と染色などについて、その歴史を語る。同じく日本人と色を考える『日本の色』(大岡信編、朝日選書)では、「日本の伝統文化と色」について詩人らが語りあった座談会を収録。また、国文学者や歌人など23人の執筆者が「日本の色」を主題にそれぞれの立場で述べている。
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