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都市と水
水道水は安全か? なぜ、日本では水道の原水を地表水に求めて薬品で浄化するのか? 都市の水害対策は? 水不足対策は? 都市の水環境対策とは?――。都市と水にまつわる問題を考える。
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読書ガイド
 古代四大文明のナイル、チグリス・ユーフラテス、インダス、黄河の各文明は、名称からわかるように、いずれも河川の流域に栄えた。現在の世界の主要都市も多くは河川流域にある。都市と水は深く結びついている。
 その理由は明快だ。都市住民の飲料水、生活や産業に必要な水を確保しなければ、都市機能は成り立たない。それぞれの都市は上水道と下水道の整備に巨額の経費を投じている。例えば、東京都の水道局、下水道局の支出額は年間で合計1兆2000億円を超えている。中規模県の年間総予算を上回る額だ。
 水不足や地下水の汲み上げによる地盤沈下、水道水の安全性をめぐる問題など、都市の維持にとって、水に関する悩みは尽きない。
 都市の水問題の根本をえぐった力作に、『都市の水循環』(ソーラーシステム研究グループ著、押田勇雄編、NHKブックス)がある。東京都職員や区職員らの自主的な集まりであるソーラーシステム研究グループは首都圏の水問題の分析を通して、渇水と洪水、飲み水の危機、水環境の破壊といった都市の水問題は、生活雑排水のたれ流しと、大規模下水道建設による地域水循環システムの破壊から起きていると結論付けた。それを踏まえ、雨水利用の促進と、浄化槽や土地浄化法による「個人下水道」の普及などを通じて、地域水循環システムを再生するよう提言している。「水問題の解決の糸口は、地域で出た汚水、雨水は地域で処理して地域内還元することにある」と、研究グループは述べている。
『水道の思想 都市と水の文化誌』(鯖田豊之著、中公新書)は欧州と日本の水道史を詳細に紹介している。水道の原水を地表水に求めて塩素殺菌する日本と、湧水や地下水に頼る欧州との違いを、古代ローマ帝国の水道建設にまで遡って検証している。
『水の環境史:「京の名水」はなぜ失われたか』(小野芳朗著、PHP新書)は、山紫水明の地と謳われた京都が地下水利用から、「安全な水の確保」のため琵琶湖を水源とする水道の建設を選択した過程を丹念にたどった。上水道建設が優先され、下水道整備が遅れた結果、水源の水質悪化を招くという、日本の水道事業に共通する問題を指摘している。
『小事典 暮らしの水:飲む、使う、捨てる水についての基礎知識』(建築設備技術者協会編、ブルーバックス)は、飲み水や排水、プールなど身の回りにあって、多様な側面を持つ水についての豊富な情報を盛り込んだ本だ。おいしい水の条件をはじめ、24時間風呂でなぜレジオネラ菌が繁殖しやすいのか、水族館の水をどう確保、維持しているのかなど、水にまつわる様々の疑問に答えてくれる。
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