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日本の都市計画
日本の都市計画の問題点を、都市計画法や建築基準法や国土計画の観点から、また、住民自治、美意識、欧米と比較して論じる。
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 日本の都市計画が適正に行われてきたと信じる向きは、ほとんどないだろう。欧米先進国と比べるとそれは一目瞭然である。その理由はさまざまだろうが、政治、企業、行政の癒着により、利権が先行し、公共のためであるはずの都市計画が歪められてきた構図を解き明かしているのが『都市計画:利権の構図を超えて』(五十嵐敬喜、小川明雄著、岩波新書)である。
 都市計画上きわめて重要な役割を担う都市計画法に関わる問題点を具体的に指摘している。一例をあげれば、用途地域の変更、容積率の緩和といった法律上の変更が、実は巧妙に開発側(企業側)に有利に利用され、一般市民の生活権を侵しているという事実を浮かび上がらせている。
 また、都市計画は土地利用と表裏一体であることから、土地の運用のされ方によって、巨額な金が動くという表面上わかりにくい事柄に潜むカラクリが説明されている。住宅を購入(建てよう)とする住民にとっても有用な事実を知ることができる。
 こうした都市計画のあり方をアメリカと比較して検証しているのが、『都市開発を考える:アメリカと日本』(大野輝之、レイコ・ハベ・エバンス著、岩波新書)だ。80年代からの規制緩和政策のなかでの都市開発が、いかに誤解に基づいたものであったかを指摘している。
 例えば、中曽根政権同様、規制緩和による経済の活性化を目指すレーガン政権下ですら日本のような土地利用の著しい緩和は行われなかったにもかかわらず、一面だけをとらえてアメリカと比べて土地の高度利用が遅れているなどという当時のマスコミを含めた誤解を正している。その一方で、アメリカの民活が公共性優先の政策である点を示す。
 日本の都市計画のもとともなる国づくりの基本が国土計画だったが、これについて戦後政府、行政がとってきた基本施策を批判的に克明に検証しているのが『国土計画を考える:開発路線のゆくえ』(本間義人著、中公新書)。国土計画のなかでは、田園都市国家構想などが打ち上げられたこともあったが、これまでの計画は結局、経済(産業)優先で、公共事業を軸とする利権絡みの図式は続いていることを指摘する。
 バブル経済との絡みでいえば、公共性に配慮せず、安易な民活導入と規制緩和により、リゾート法をもとに地方に乱開発の爪痕を残した中曽根政権に対してこれらの書は共通して厳しい批判の目を向けている。
 無節操な計画や乱開発は、都市の景観を損なうのはいうまでもない。都市に残すべき歴史的環境を保存することの必要性と、こうした観点からの再生を、内外の都市の実例をもとに紹介しているものに『歴史的環境 保存と再生』(木原啓吉著、岩波新書)がある。ありうべき都市の姿は「市民の手で」というのは共通する視点だが、市民主体の都市政策を民主主義の可能性から論じた古典として『都市政策を考える』(松下圭一著、岩波新書)をあげることができる。
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