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暗号と情報社会
情報セキュリティで利用される「暗号」「認証」についての基本的な知識。各種暗号の弱点と特徴にあわせた使い道についてなど。
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読書ガイド
 インターネットに代表されるデジタル通信網の普及に伴い、情報を「安全かつ確実に」送受信することの必要性が高まっている。また、企業などからの情報流出や漏洩をいかにして防ぐかということや、不正な手段によって内部情報を取得しようとする人間たちからいかに守るかなども含めて、「情報セキュリティ」と呼ばれる分野を形成している。従来の社会において、これらの「情報セキュリティ」は専ら政府や軍事機関などにおいて使用される技術であったが、近年においてその状況は一変した。『暗号: ポストモダンの情報セキュリティ』(辻井重男著、講談社選書メチエ)においては、その状況を「近代(モダン)からポストモダンへの変化」であるととらえ、「ポストモダン暗号」と呼ばれる暗号技術に脚光を当てて解説を進めている。この観点は特筆に値するものであるといえる。なぜなら、ポストモダンにおける重要な要素である「大きな物語への不信」「個人の参加と意志決定」の波が、通信や暗号技術においても主要な要素となりつつあることがそこに含意として存在しているからである。
 電子通信の世界においても、「物語の主体者」は、すでに「個人」となりつつある。同じ著者の『暗号と情報社会』(辻井重男著、文春新書)においては、暗号方式の具体的な説明部分の分量が減らされ、「暗号と社会との関わり」を中心に構成されているので、暗号方式の具体的な方法について知りたいのであれば前者(『暗号: ポストモダンの情報セキュリティ』)をすすめたい。ただし本書は「縦組み」ということもあり、数式こみの説明箇所は少々読みにくい。『情報セキュリティの科学:マジック・プロトコルへの招待』(太田和夫, 黒澤馨, 渡辺治著、ブルーバックス)は、横組みの本であり、数式も図解こみでわかりやすく説明されているという点で秀逸である。「一方向関数」「剰余演算」などが「いかにして」暗号に使用されるか、もしくは「公開鍵暗号」の数理モデルについて知りたい向きには、この『情報セキュリティの科学』がおすすめであろう。平易な文で解説されてはいるものの、「ゼロ知識証明」などの比較的先端的な領域に関しても踏み込んだ説明がなされており、内容的にはかなり高度であると言える。
「暗号」を少々離れ、電子通信網における「安全性全般」についての説明がなされているものとしては、『インターネットセキュリティ入門』(佐々木良一著、岩波新書)が秀逸である。インターネットセキュリティの全体像をおおまかに知るという点では、好適である。さらには、「4章:被害者にならないために」、「5章:加害者にならないために」、「6章:犯罪者にならないために」というように、後半3章を割いて「心構え」に関する説明がほどこされているのも特筆すべき構成だ。また、多くのユーザーにとって「セキュリティ」の必要性を身近に感じるのは、インターネットショッピングの時点であろうと思われるが、それについて書かれているのが『インターネット取引は安全か』(五味俊夫著、文春新書)である。技術的な解説は少ないものの、「現状において何が問題となっており、どのような解決策が講じられているか」の全体像を把握する上では、好適であろうと思われる。
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