長期不況から抜けきれないでもがいている日本社会。株価の下落やデフレ不況で企業も作ったものがさっぱり売れない。なんとかしてコストを削減して経営体力を回復しようとするが、どうもその成果が見えてこない。そこで最後に手をつけるのが人である。
リストラという言葉の本来の意味は、「企業再構築」だが、徐々に転じてリストラといえば人員削減を意味するようになった。リストラは多くの企業で当り前になってきた。誰もがわが身にふりかかることを案ずるようになってきた。
リストラの概説書として客観的で正確な知識を与えてくれるのが『雇用リストラ』(櫻井稔著、中公新書)。雇用にかかわるリストラ策には何があるか、給与関係のリストラ策には何があるか、雇用リストラ手段としての希望退職者募集とはどのような方法ですすめられるのか、計画はどう実行されているのか、また関係社員はどう受け止めているのだろうか等々、雇用リストラの実情と問題を分析するとともに、新たなルール作りを提唱する。
リストラされる社員の立場からリストラにどう立ち向かえばいいのか、退職勧奨をどうかわせばいいのかなど防衛策、回避策をレクチャーしてくれるのが『辞めてはいけない』(中森勇人著、岩波アクティブ新書)。大手金属メーカーの子会社で入社10年目にリストラ宣告を受けた著者が500日にわたる闘いの日々をもとにして書いただけあり、具体的かつリアル。「辞めるな」という立場からの会社と闘うノウハウ集。『不況に負けない再就職術』(中井清美著、岩波アクティブ新書)は、最新のリストラ事情と情報がよくわかる。リストラされてもなかなか次の就職先がないのが現状だが、再び職につくにはどうすればいいのか。「仕事をつかむ、仕事を手にいれるのは、ひとつの技術である」と言い切る著者の具体的に役立つノウハウがぎっしり。 圧迫面接に勝つ方法など、普通のマニュアル本とは一味ちがう厳選した情報は実践向き。転職と再就職の違いについても詳しく説明。ちなみに転職とは自分のキャリアを生かし、昇給や昇進を視野にいれて働くこと。再就職とはいったんビジネス社会を卒業してから、賃金や雇用形態にこだわらず働くこと。どちらを自分が選び働きたいのか、一読の価値がある。『リストラと能力主義』(森永卓郎著、講談社現代新書)は、日本の雇用制度についての解説が主で、リストラについてふれているのは<第1章「日本型リストラ」四つの誤り>のみ。デフレ下でのリストラ、早すぎるリストラスピード、リストラの方向性、これらすべては間違ったリストラである。なぜ正しいリストラが日本ではできないのか。暴走する日本の企業、とりわけ人事部、役員会といった日本の「大本営」を問題点として指摘する。
『中年よ、大志を抱こう!』(堀田力著、PHPエル新書)は「自立」と「共生」をキーワードに綴る、堀田流生き方の指南書。リストラを正面から捉えたものとは少し異なる。
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