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コーポレート・ガバナンス
一流とされた企業の相次ぐ業績不振、そして不祥事、事件。それらを引き起こした大きな原因には経営者自身の無能と、そうした経営者がトップの椅子に座ることを許し、野放しにしたコーポレート・ガバナンスの不在がある。
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読書ガイド
 1990年代以降、相次ぐ不祥事や長引く収益の低迷、企業倒産の続出で企業経営者の能力不足が次々と露呈する一方で、日産のように経営者の交代で会社が劇的に蘇生するケースも出てきた。このちがいは主にどこに原因があるのかといえば、コーポレート・ガバナンスが機能しているか否かだろう。つまり、経営陣を常時チェックし企業価値向上の動機付けを与える一方、必要に応じて経営体制の刷新を促すことができるかどうかである。
『コーポレート・ガバナンス入門』(深尾光洋著、ちくま新書)は株式会社の原理から説き起こし、主要各国における会社制度や経営機構を概観した上で、バブル期以降の環境変化で日本型企業のコーポレート・ガバナンスの構造がどのように変化しているかを考察している。日本企業において取締役会や監査役会が有効に機能しない理由や、決してアメリカ企業が株主主権一本やりで動いているわけではないといった事実が、平易な言葉で指摘、分析されており、会社運営のあり方を考えるだけでなく、この10年日本経済が低迷した理由を知る上でも参考になる。
 一方、『コーポレート・ガバナンス』(田村達也著、中公新書)は、メインバンク制や企業グループによる縛り、そして官公庁からの監督指導などによる日本の旧来型コーポレート・ガバナンスが機能しなくなった状態でバブル経済の事後処理が行われたため、これまで不良債権問題が先送りされてきた点を指摘。日米欧の事例に基づいて、新しい経営環境に対応したガバナンスを確立し、企業改革を推進していくことの重要性を論じている。
 こうした概括的な内容に対し、平成5年に行われた法改正で企業経営者、取締役がその存在を無視し得なくなった株主代表訴訟制度に焦点を当てた本が『株主代表訴訟』(渡部喬一著、平凡社新書)。
 法改正後の短期間で企業経営の健全化に大きな役割を果たしたこの制度の概要や裁判例、母法国アメリカの制度紹介、経営者サイドの要請を受け平成13年になされた制度改正等々、最新の情報がコンパクトにまとめられている。雪印のように企業の不祥事、違法行為が企業の存続に影響し、経営を担う取締役には多大な責任を課される時代を迎え、株主代表訴訟のポイントを把握することは、企業経営に携わる者にとって必須の課題であろう。
 会社の最高意志決定機関とされながら、実際は単なるセレモニーと化していることの多い株主総会。奥村宏著の『株主総会』(岩波新書)はその背景にある「会社は株主のもの」という建前が幻想に過ぎなくなっている実態を取り上げ、企業改革の方向性を指し示す。
『社外取締役』(大橋敬三著、中公新書)は、導入の機運が高まっている社外取締役の事例を検証。『株式会社とはなにか』(友岡賛著、講談社現代新書)は、会計学的な視点から株式会社論が展開されている。
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