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職人
モノをつくる職人(研削工、瓦職人、染色工、歯科技工士、大工の棟梁、浮世絵彫り師、宮板金の親方、花火職人、能面師、板前、京友禅職人)たちのいきいきしたレポート。
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読書ガイド
 かつて日本のモノ作りを支えていたのは職人だった。職人は完全に黒子の世界。しかし、いい仕事をし、仕事の質にこだわり、そこに誇りをもつ人が多かった。最近は目立ちたがりの職人も増えたようだ。時代の移り変わりとともに、職人がどんどん減って伝統技術が途絶えた職種もある。現代の職人の世界はどうなっているのだろう。
『仕事が人をつくる』(小関智弘著、岩波新書)は旋盤工として50年のキャリアをもつ著者が、モノ作りのプロフェッショナルと呼ぶにふさわしい、現代の職人を現場に訪ねて聞き書きしたもの。研削工、金型製作、精密測定器製作、瓦職人、染色工、歯科技工士、大工の棟梁、椅子作り職人、木の剪定師など、登場する10人はどの人も向学心が旺盛で仕事のために人生のすべてを捧げてきたような人ばかり。工作機械、金型機械、精密機器など、基礎知識がなければ深く迫ることのできない仕事師たちの細部へのこだわりと生き様を描き切る。日本の技術を支えてきた職人(技術者)はまだまだ健在だ、とホッとさせられる。旋盤工として様々な工場を渡り歩き、苦労してきた異色作家だからこそ、これだけのことが聞き出せたに違いない。
『職人』(永六輔著、岩波新書)は、著者の長年にわたる職人たちとの付き合いの中から生まれた職人語録、対談・インタビュー、講演録。「目立たないように生きる--昔はそうでしたよね。いまは、目立つように生きる、そうなってますわね」「いいか!プロってものは、浣腸されても、固いウンコ出せなきゃいけねェんだ!」「褒められたい、認められたい、そう思い始めたら、仕事がどこか嘘になります」「和菓子の職人ですが、いつか、見惚れて喰うのを忘れるような、そんな菓子をつくってみたいですね」などなど、職人衆語録は面白くってチクリと痛い言葉のパレード。「漫才の職人としてずっと生きていきたい」と語る内海好江との対談は、"職人気質と芸人気質"談義。職人と芸人の世界はどこか通じるものがあるようだ。ヤクザの世界に入ってしばらくした若者が警察に駆け込んで「あの世界には自由がない」と訴えたそうだが、噺家や漫才師もまったく仕事というものをわからずに「いくらぐらいお給料をもらえるのでしょうか」と入ってくるという。内海好江の弟子のウッチャンナンチャンは出演料が二人パッケージで何百万円の世界。師匠の好江・桂子は何十万円。「弟子のほうが稼いでくるんだもの」と内海好江は笑うが、テレビや芸人の世界もプロは減りつつあるようだ。本書は短時間でパッと読めて軽い本のようにも思えるが、「職人」の本質を鋭い言葉で捉えた永六輔の職人技。
『若き女職人たち』(阿部純子著・ 伊藤なたね写真、集英社新書)は、おもに20代、30代の若い女性職人をルポしたもの。宮板金の親方、花火職人、能面師、浮世絵彫り師、板前、漆芸、京友禅職人など9人の女性たちの仕事現場やものづくりに賭ける姿勢、生活観、結婚観を写真と文章とで紹介する。女性たちの大半は、職人といっても恵まれた家庭に育ち、家の後継者として重責を背負うエリートたち。金銭的にはどの仕事もけっしてラクではないが、現在の日本を支配している価値観とは別の価値観で生きている彼女たちの飾り気のない素顔や仕事に惚れぬいて打ち込む姿には、はっとさせられる。女性には肉体的なハンディもあり、肉体的に弱い分は努力で補うしかない。職人として生きるということは、不必要な一切を捨ててひたすらその道に精進するしかないのかもしれない。その姿がいじらしくも頼もしい。
『職人技を見て歩く』(林光著、光文社新書)は、職人というよりも企業で活躍する人たちのハイテクなどを駆使した職人技を紹介する。「美しい人工心臓を作りたい」「究極のトイレをデザインする」「AIBOの生みの親」など、モノの素晴らしさを信じ、自分の好きなモノを作り出すことに才能を傾けている"モノ作りのプロ"のレポート。著者は消費社会論、生活者動向予測、団塊世代分析などの研究者。
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