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先端医療
臓器移植、不妊治療、遺伝子治療など先端医療の最前線と、先端医療の孕む倫理的な問題について考える。
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読書ガイド
 臓器移植、遺伝子治療、遺伝子診断など、高度で専門化した先端医療の発展により、これまでは不治とされてきた病気の治療が、一部可能になってきた。が、先端医療は高額な医療機器を必要とする経済的な問題や、脳死臓器移植、生体移植、遺伝子診断・治療などに顕現する生命倫理の問題など、多くの難問を孕んでいる。
 先端医療の問題を考える前に、まず、先端医療とはどのようなものなのかを知っておきたい。が、先端医療を紹介する作品は、先端医療に携わっている医師によって書かれたものが多く、当然のこととして、先端医療の問題点には目を瞑ったり、あるいは無関心であったりして、先端医療の利点を無批判に評価しているものが多い。その点には留意したい。
『医療技術の最前線』(永井明著、ブルーバックス)は、元医師である著者が、先端医療に対する疑問を心の隅に置きながら、専門知識を駆使して医療技術の最前線で行われていることや使われている技術を、分かりやすくリポートした秀作である。がんの早期発見などに活躍しているMRI(磁気共鳴映像法)、心エコーシステムなどの新しい診断法、レーザー治療、体外衝撃波結石破砕術、光線力学的ガン診断治療装置などの最新治療法、人工皮膚、人工関節、人工肛門などの人工器官を報告している。倫理的問題が提起される、臓器移植や遺伝子治療、不妊治療などには触れていない。
『先端医療』(上林茂暢著、講談社現代新書)も、(1989年時点での)先端医療の最前線を報告。終章で、医療の機械化にともなう人間疎外の進行の問題や、高額化する医療費の問題、臓器移植、不妊治療、遺伝子診断などが孕む生命倫理の問題などに触れている。
 生命の設計図である遺伝子は、現在、もっとも注目を集めている研究分野の一つである。
『遺伝子で診断する』(中村祐輔著、PHP新書)はがん遺伝子の研究者が遺伝子医療を解説。遺伝子とは何か、遺伝子と疾患の関係、遺伝子診断の実情と可能性など、遺伝子医療の世界を知ることが出来る。終章で遺伝子診断の問題点に触れているが、医療者への絶対的な信頼と眼前の患者の苦痛を取り除くことを絶対視する姿勢が根底にあり、遺伝子診断によってもたらされる深刻な生命倫理上の問題は、軽視されている。
『遺伝子改造社会あなたはどうする』(池田清彦、金森修著、新書y)は、遺伝子技術によってもたらされる危険性のある近未来の社会像を生物学者と科学論を専攻する思想家が語りあう。バラ色とはいえない遺伝子改造社会の恐ろしさを垣間見せてくれる。
『先端医療のルール』(橳島次郎著、講談社現代新書)は、生命倫理に関する啓蒙書。クローン研究や臓器移植・臓器利用、生殖医療などについて、規制や管理が医療者の自主性に任され、法律で規定されていない日本の現状を告発しつつ、「人体は人か物か」「受精卵は人か物か」「遺伝子は誰のものか」「人と動物の境はどうなるか」など、生命倫理の問題について提言する。動物の体や細胞に人間の遺伝子を注入して臓器を作る異種再生医学など、研究の最先端の実態も知ることができ、興味深い。
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