不況にもかかわらず巨額の利益で潤い、派手なコマーシャルを流しまくる消費者金融業。日本人のおよそ2000万人近くが消費者金融(別名はサラリーローン)から金を借りているという。そのうちの約1割、150万人から200万人が多重債務者。2001年の個人破産件数は16万件あまり。ひとごとではなく、日本は誰でも借金地獄に陥る可能性のある社会なのだ。なぜこれほど悲惨な状態が放置されているのか。
『消費者金融:実態と救済』(宇都宮健児著、岩波新書)は、サラ金からの借金により多重債務に陥った人を何人も救済し、消費者金融に関する本も数多く出している消費者金融問題の第一人者ともいえる弁護士が書いた入門書。
深刻化する多重債務問題や多重債務者救済への道、消費者金融と高利金融業者の実態と問題点、業者繁栄を支える社会、急がれる法律・制度の見直しなどを丁寧に解説する。とくに強調しているのが、消費者金融に対する、借りる側の知識の獲得について。多重債務に陥ったとしても必ず救済してくれる機関はあるのに、それを知らない人が圧倒的に多い。救済方法も任意整理や調停、個人再生手続き、自己破産など、様々な方法がある。自己破産した場合には、資格(弁護士、公認会計士など)を失い、職業をも失う可能性があるが、個人再生法に基づく方法なら資格を失い職を失う心配もない、など、悪徳金融業者に対抗する手段がいくつもある。
クレジット会社のキャッシングを含めほとんどの消費者金融の利息は25%から29.2%(銀行利息の1250倍もの高金利)で、利息制限法からみると違法だがこれを取り締まらないのはなぜなのか。法律の早急な見直しを訴えると同時に、若者や子どもに対して消費者金融に対する教育を強く求めている。本書を読むとカードで買物をすることにも恐怖を感じる。
まったく逆の債権回収の立場から書かれたのが『債権回収の現場』(岡崎昴裕著、角川oneテーマ21)。大手信販会社に13年間勤務し、12年間を管理部門(取立の仕事)ですごした著者の取立ノウハウ。著者は多重債務者の悲劇など、債権回収の現場を生々しく描く一方で、自動車ローンをめぐるディーラーと信販会社の癒着など、組織に所属していた人間にしか書けない組織悪の細部を詳述している。
『借金中毒列島』(室井忠道、岸川真著、岩波アクティブ新書)も消費者金融業を営み、取立をやってきた立場からのもの。元消費者金融の経営者だった室井忠道氏(現在は金融コンサルタント)にフリーライターの岸川真氏がインタビューする形式で書いた消費者金融と借金に関する警告の書。内容は悲惨な話がほとんどだが、なぜかユーモアがある。修羅場をくぐり、消費者金融会社を意図的に閉じた人だからこそ、これほど率直に裏も表も明かすことができたにちがいない。本書のポイントは、消費者金融という仕事、消費者金融に走らせる住宅ローンと銀行問題、保証人問題と自己破産、の3つ。「消費者金融という仕事」では27歳で独立した著者(室井氏)が団地金融からサラ金へと商売を大きくしていく過程で、貸す立場もまた資金繰りのために借金まみれになることを明かす。例えば1億円を借り3600万円の利息を支払っていたことが記されている。自分の会社の「取立」の厳しさにより、自殺者や行方不明者が続出し、この仕事の悲惨さに目覚めたことなどを中心に、消費者金融の歴史を語る(付録の「取立報告書」がリアル)。「消費者金融に走らせる住宅ローンと銀行問題」「保証人問題と自己破産」では、借り手側の無知を保証人問題や住宅ローン借り換え話などの事例で解説しながら、借金の怖さを警告する。サラ金ばかりでなくカード会社のキャッシングを含め、とにかく借金とはスッパリと縁を切ることを徹底してすすめる。
『ヤミ金融』(読売新聞社会部著、中公新書ラクレ)は、2002年12月〜2003年5月にかけて読売新聞に連載された「高金利」で追ったヤミ金融の実態。「なぜ、暴利を承知でヤミ金融から借りてしまうのか」、その疑問にこたえようと、"アリ地獄"のようなヤミ金融に実際に陥った人々を徹底取材して、問題の核心を突く。
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