依存症とは、アルコール依存症をはじめ、薬物、ギャンブル、タバコ、過食、買い物などあらゆる対象が当てはまる。ストレス解消のため、または快楽を得るために何かに依存してしまうことは誰にでも経験があるだろう。しかし、一歩進んだ悪習慣化は依存症という病気に変わる。それは誰にでも起こりうる。依存の悪習慣化という行動の裏に潜む"心の闇"は一体何か。
カウンセラーという立場から依存症という病気を真正面に捉えているのが『依存症』(信田さよ子著、文春新書)だ。本書はまず最初に、依存症の代表格ともいえるアルコール依存症を取り上げ、アルコール依存症という疾病の歴史、病気としての考え方、高度経済成長に伴う日本人とアルコールの関係などについて記している。また、依存症を「家族共通の病」と捉え、「依存症は、本人と周囲のやめさせようとしているもう1人の人との関係によって成り立っている」と説明する。問題を起こして困らせる人と、それを心配し世話をする人(ほとんどが親や配偶者)の「共依存の関係」をキーワードにし、数々のカウンセリング事例を取り上げながら依存症の実態に迫る。世代連鎖の恐ろしさ、子どもへの影響、回復への援助についても触れている。
覚せい剤や大麻など深刻化する薬物乱用の問題については『薬物依存』(宮里勝政著、岩波新書)と『薬物依存:ドラッグでつづる文化風俗史』(中村希明著、ブルーバックス)が詳しい。前者は思春期、中年期、老年期など各世代と薬物依存の関係をそれぞれ説明し、どうして依存するのかを考察。また、各種薬物に対応する治療法、予防法、家族や社会の役割について述べつつ、深刻化する日本の薬物依存社会に警鐘を鳴らしている。後者は各国の薬物事情を紹介。歴史の流れと共に変わってきた薬物の流行を当時の世相と関連させながら解説している。
嗜好品としての地位を保ちながらも、アルコールと並んで依存しやすいのがタバコだ。『タバコはなぜやめられないか』(宮里勝政著、岩波新書)では、「タバコ依存はニコチンへの薬物依存だ」ということを踏まえ、依存とは何かを探る。ニコチンが身体や脳へ及ぼす影響などを説明。「やめたいのにやめられない」タバコ依存症のための治療法も紹介している。
依存への第一歩である快楽について知るには『快楽の脳科学:「いい気持ち」はどこから生まれるか』(廣中直行著、NHKブックス)がユニーク。本書は快楽という視点から人間の感情と脳の仕組みを考えている。『疲労とつきあう』(飯島裕一著、岩波新書)は現代人と切っても切れない疲労のメカニズムと慢性疲労の延長線上にある心身の病気に迫る。全国の医師、研究者、患者などを訪ね歩き、独自の切り口でまとめたルポ。
|