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デザイン
機能と値段だけでは、もう満足できない。デザインがすぐれていなければ、手をのばす気にもならない。では、すぐれたデザインとは何か。新しさや奇抜さだけを追った軽佻浮薄なもの、メーカーや流通やメディアによってたやすく操作されるものなのか。それとも心地よいデザイン、すぐれたデザインには普遍性があるのか。
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読書ガイド
 なぜ人は初めて見るラジオを「これはラジオだ」と認識し、ペンを見ると「これはペンだ」と認識するのだろうか。炊飯器はいかにも米を炊くもののデザインをしている。電子手帳が紙の手帳と同じデザインである必然性はないにもかかわらず、やはり紙の手帳を模してしまう。またクルマはそのデザインによって「速そう」「やさしそう」と表情をかえる。デザインはイメージの形成に大きなはたらきをする。柏木博による2冊、『日用品の文化誌』(岩波新書)と『色彩のヒント』 (平凡社新書)は、そうしたわれわれの日常感覚からアプローチしたデザイン論である。デザインとは、有名デザイナーによって描かれ、デザイン史に残るものだけでなく、一般にはその名を知られることも、その存在を意識されることすらないデザイナーによって作られる。
『形とデザインを考える60章 : 縄文の発想からCG技術まで』(三井秀樹著、平凡社新書 )は、ジャポニスムから説き起こし、世界デザインとしての日本デザインを考える。ルイ・ヴィトンのモノグラムが、じつは江戸小紋にヒントを得ていたことを読むと、日本の若い女性がまるで制服のようにヴィトンを持ちたがる心理もわからぬではない。
『ファッションの技法』(山田登世子著、講談社現代新書 )は、青少年向けシリーズの1冊という体裁をとりながら、「見せる/隠す」というファッションの原理から考える。たしかにデザインは目立たせるものでありながら、そのスタイルのなかに機能を封じ込めてしまうはたらきがある。
『パリ・コレクション : モードの生成・モードの費消』(深井晃子著、講談社現代新書 )は、パリコレの現実をリポートする形で、デザインが産業とどうかかわり、人びとの欲望と絡むのかを見せる。『メディアと芸術』(三井秀樹著 ,集英社新書 )は、デジタルテクノロジー時代の芸術について書かれたものだが、この「芸術」は「デザイン」に置き換えることができる。
『大工道具の歴史』( 村松貞次郎著、岩波新書)はデザインと手技の関係を考えさせ、『バリ島芸術をつくった男 : ヴァルター・シュピースの魔術的人生』(伊藤俊治著 ,平凡社新書)は、土着のものと思われていたデザインや文化のなかには、外来のものも少なくないことを知らせる。『パリの奇跡 : メディアとしての建築』(松葉一清著、講談社現代新書 )は、最大のデザイン商品である建築について、都市との関係で考察した好著。
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