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麻薬、ドラッグ
さまざまなドラッグの薬理・精神作用からその歴史的、社会的背景を、戦後世界の文化風俗とともに解説。200件を超える薬物事件を担当してきた著者による薬物乱用防止への提言。麻薬の恐怖と麻薬取締官の仕事など。
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読書ガイド
 麻薬、ドラッグに手を染める人間といえば、かつてはヤクザや売春婦が大半だった。しかし、最近はごく普通のサラリーマンや大学生、はては高校生や中学生にまで乱用者が広がっている。薬物依存症の増加はうつ病などの軽い神経症の増加と同じ意味を持ち、もはや社会の暗部を生きる一部の人だけの問題ではない、と『薬物依存症』(佐藤有樹著、ワニのNEW新書)は警鐘を鳴らす。
 一口に麻薬・ドラッグといってもその種類や作用はさまざまで、アルコール依存症を薬物依存として分類することもある。本書は精神科医として薬物依存症の患者に関わってきた著者が、覚せい剤やアヘン、大麻などの薬物について、それぞれの特徴と身体に与えるダメージ、そして悪いと思いながらも薬物に手を出してしまう「心」の背景や治療法を一般向けにわかりやすく解説している。
『薬物依存』(中村希明著、ブルーバックス)、『薬物依存』(宮里勝政著、岩波新書)という同じタイトルの二冊も、ともに精神医学者が薬物の特性や乱用に至る社会的背景などを紹介し、警告を発している。
 しかし、「覚せい剤やめますか、それとも人間やめますか」という有名なコピーのように、薬物の危険性を強調して脅し、禁止するだけでは薬物乱用問題を解決できないと『ドラッグ社会への挑戦』(小森榮著、丸善ライブラリー)は言い切る。著者は200件を超える薬物事件を担当した弁護士だ。
 若者の間では「薬物を使用するかどうかは個人の問題だ」との風潮が広まっており、著者が薬物の使用について被告人に質問すると「そんなの、私の勝手じゃない」と幾度となく食ってかかられた。だが、そんな対応にどう答えるべきか、まだわかっていないと正直に吐露する。
 一方で、薬物の危険性について彼ら彼女らが無知かといえばそうではない。知識として持っているが、実際の行動の抑止にはつながっていないのである。最近は供給ルートの変化もあり、非行歴のない子供が軽い気持ちでいきなり覚せい剤に手を出す時代。このように意識と環境が変化した中では、正しい情報を与えるだけでは不十分で、頭でおぼえた知識を「使わない」という行動に結びつける訓練が必要だと著者は主張し、その方法を示す。また、子供が薬物に手を出したとき、親がどう対応すべきかについても具体的に示されている。
『麻薬取締官』(鈴木陽子著 集英社新書)はかつて麻薬取締官として従事し、現在は医師として麻薬施用者の立場を持つ著者が、二つの立場から麻薬に関する情報をまとめている。
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