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アジアの経済発展
めまぐるしい経済発展を続けるアジアの国々について、開発優先の権威主義的独裁体制が果たした役割とその弊害など、アジア経済の発展を検証する。
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読書ガイド
 90年代以降、「アジア経済危機」などの洗礼を浴びてはいるものの、NIES諸国、ASEAN各国、そして中国、ベトナム…と、アジア各国の経済発展は目まぐるしい。その特徴は、安定した権威主義的独裁政権のもとで経済発展を遂げた過程にあるといえる。アジアの国々の近現代史に通底するものは何か。
『アジア政治を見る眼 : 開発独裁から市民社会へ』(岩崎育夫著、中公新書)は、軍事独裁から民主化に向かった韓国、国民党一党独裁から政権交代を実現した台湾、スハルト政権が崩壊したインドネシア、権威主義的な政権のもと依然として安定した成長を続けるマレーシア、シンガポールなど、1960年代以降にアジア各地に登場した「開発主義国家」の諸相を具体的に検証する。単一民族と複合民族、宗教の違いにもかかわらず、なぜ、アジアで同じような性格を持つ政権が誕生し、そして崩壊に向かったのか。著者は、第2次大戦後に植民地から独立したものの、安全保障やインフラの遅れなど様々な困難を抱えた各国が、何よりもまず「国民を豊かにする」ことを、問題解決の切り札と考えたからだという。そのモデルとなったのは明治維新を成功させ戦後奇跡の復興を遂げた日本であったが、権威主義的政権による開発優先のため、政権は腐敗し、貧富の格差が拡がり、人権が軽視され、民主化は置き去りにされるなどの問題に直面する。終章で著者は、これまでの「アジアを見る目」が、国家に重点を置き過ぎていたことを反省し、市民社会に目を向けるべきと指摘している。
『アジア四小龍 : いかにして今日を築いたか』(エズラ・F・ヴォーゲル著、渡辺利夫訳、中公新書)も、韓国台湾香港シンガポールのアジアの4国が経済発展を遂げた秘密を探る。前提要因として冷戦時代のアメリカの援助、世界市場の拡大、欧米の消費大国化、情報革命、多国籍企業の登場などをあげるが、それは「四小龍」に特有の条件ではなかった。では、なぜ?の問いに、著者は個別具体的に答えつつ、共通点として、アジアの小国に特有の社会的能力があった、すなわち、<儒教的伝統に支えられた徹底した能力主義><厳しい入学試験制度><個人の自由よりも集団への忠誠心が優先される社会意識><自己研鑽への願望と努力>の4点を指摘している。同じ儒教的伝統を持つ日本人には、同類ゆえに見過ごしがちな視点といえる。
『新世紀アジアの構想』(渡辺利夫著、ちくま新書)も類著。記述はNIESからASEAN各国、さらには中国と拡がる。開発指向型国家の原型として日本があり、市場への政府介入が容認される権威主義開発体制による経済システムなどの共通項のもと、各国がどのように経済発展を遂げてきたのかを詳細に検討する。
 各国の経済発展と民主化の過程については、『インドネシア繚乱』(加納啓良著、文春新書)、『韓国民主化への道』(池明観著、岩波新書)、『タイ : 開発と民主主義』(末廣昭著、岩波新書)、『ラオス : インドシナ緩衝国家の肖像』(青山利勝著、中公新書)、『ベトナムの現在』(古田元夫著、講談社現代新書)など。
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