不良債権処理や失業率の増加、あるいは社会保障費の負担増など経済問題への関心が高まるなかで、経済学を本格的に学ぶ時間はないが、少なくとも経済学的な考え方を身に付けたいと思う人たちが増えている。
そうした人たちを対象に、基本的な経済学の理論を解説しているのが『高校生のための経済学入門』(小塩隆士著、ちくま新書)タイトルに「高校生のための」と謳っているものの、高校生に限らず、むしろ社会人にこそ経済学の再入門用テキストとして気軽に読めるよう工夫した、と著者は述べている。
前半はミクロ経済学、後半がマクロ経済学という構成で、新書の限られたスペースの中で必要なポイントを押さえつつ、現実の経済的事象と関連づけながら経済学的なものの見方──それが必ずしもただ一つの答えを導き出すわけではないことまで含め──を提示している。
『経済学を学ぶ』(岩田規久男著、ちくま新書)も同様に抽象性をできるだけ排して、経済学の考え方を具体的な問題に当てはめて解説し、一般的な読者が経済を見る眼を養うことに主眼を置いた一冊である。
たとえば、「高速道路の通行料金値上げに関する諸問題」、「日本の消費者が米国の消費者より高い家を好むのはなぜか」、「映画館には学生割引料金があるのにレストランにはない理由」といった話題を取り上げ、経済学の考え方を通してみるといわゆる常識が到達する結論とは違ったものの見方ができることが示されており、興味深く読める。「貨幣価値に換算できるものの価値しか認めない」という意見に代表される経済学に関する批判、誤解についての反論も詳しい。
同じ著者による『マクロ経済学を学ぶ』(ちくま新書)は本書の姉妹編。『経済学を学ぶ』が交換と市場、需要と供給などミクロ経済学の基本問題からマクロ経済学の基礎までを扱っているのに対し、こちらはマクロ経済学に絞ってより詳細な解説を行っている。いずれも巻末にブックガイドが掲載されており、次のステップへ進もうとする学習者の指針となるだろう。
アダム・スミスの「国富論」に始まる経済学の発展と思想的枠組みの潮流を、その歴史的位置づけや社会に与えた影響まで含め記述しているのが『経済学の考え方』(宇沢弘文著、岩波新書)。とくに1970年代以降、大きな社会的・政治的影響力を持った反ケインズ経済学、とりわけロナルド・レーガン米大統領の選挙公約の下敷きとなり、それが実行された結果連邦予算の大赤字を招いたサプライサイドの経済学について、厳しい批判が展開されている。
このように、おかしな経済理論が世の中で力を持って、社会全体が大きな損失を被ることがある。そうした理論への徹底的な批判と、経済学的な正しいとらえ方を示そうと試みた本が『経済対立は誰が起こすのか』(野口旭著、ちくま新書)である。俎上に上げられているのは1990年代前半に派手にブチ上げられた米国の攻撃的な対日通商政策の当事者やその支援者たち、あるいは前川リポート、石原慎太郎等々。『ゼロからわかる経済の基本』は同じ著者による入門書である。
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