ジャズを楽しむ方法は、人によってさまざまだし、その人にあった楽しみ方を見つけることが重要だろう。とにかくCDショップにいっていまはやりのジャズを聴いてみるのもその一つだし、その前にまずジャズという音楽の全体像をつかんでみようというやり方が性に合う人もいる。
全体像を知る点でいえば、もっとも一般的なのは、黒人音楽として誕生してから約100年になるこの音楽を歴史に沿って理解することだ。デキシーランド・ジャズからモダン・ジャズ、そしてビ・バップ、フリー、フュージョンなどへの変化をたどってゆく方法だ。
『はじめてのジャズ』(内藤遊人著、講談社現代新書)は、文字通り初心者向けにこうした流れを解説している。「ジャズはどこで生まれたのか」、「モダン・ジャズの時代」(1940年代)、「咲き乱れるモダン・ジャズの花」(50年代)、「円熟(モード)から拡散(フリー)へ」(60年代)、「エレクトロニクスがジャズを変えた」(70年代から80年代へ)といった章立てで、時代とスタイルの変化をまとめている。
こうした変化を、ジャズ界の頂点に君臨したマイルス・デイヴィスというミュージシャンを通して解説するのが、『マイルス・デイヴィス』(中山康樹著、講談社現代新書)だ。先進性を常に求めるジャズのスピリットを体現してきたマイルスにジャズのエッセンスを見ることができる。
同じ内藤氏の著書でも『ジャズ・ガイドブック』(ちくま新書)では、知識から離れて初心者にとって聴きやすいアルバムと曲選びという観点からジャズの楽しみ方をとらえている。例えば、メロディーとして親しみやすい曲についてのアルバムやバラードを演奏した曲のアルバムについてまとめている。
その一例として、「マイ・ファニー・バレンタイン」や「ボディー・アンド・ソウル」など、ジャズ・バラードについて細かく、お勧めの名演名盤を紹介している。
「こんな甘っちょろいものがジャズだと思われては」という評論家の向きもあるだろうが、これはこれでジャズというスタイルの入り口として価値があるだろう。
独特の聴き方を提示しているものとして、整形外科医で評論家の小川隆夫著の入門書『JAZZウルトラ・ガイド』(平凡社新書)がある。「楽器や編成」、「歴史やスタイル」、「ライブ」、「音楽以外(活字)」、「マイルス・デイヴィス」、「ヴォーカル」、「日本のジャズ」といった観点からアプローチしている。
ガイド本というと、ミュージシャンとCDの紹介を重視するものが多いなかで、ライブやビデオ、ジャズを扱った映画、コンサート、フェスティバル、ジャズ喫茶といったさまざまな角度からの楽しみ方に触れている点がユニークだ。
さらに、ひと味ちがった楽しみ方を提示するのが『超ジャズ入門』(中山康樹著、集英社新書)。中山氏は、ジャズ入門書にありがちな「お勉強」「マニア的な趣味」を批判、他の音楽と比べてジャズを聴くことの意味を考えさせながら、独特のウィットに富んだ語り口でつづっている。
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