テーマで探す新書ガイド 新書マップ BOOK MAP web magazine [ 風 KAZE ]
>>新書マップ検索画面へ戻る
テーマ Theme
テーマ Theme
温泉の効用
温泉の癒やしや安らぎ、そして湯の成分の働きなどを科学的に解明する。温泉施設の衛生上の問題点を指摘する。
関連書籍を探す
読書ガイド
 医療・福祉の現場でも活用されているように、温泉の効用が注目されて久しい。どうして体にいいのか、どう活用したらいいのか、といった観点から実用的に書かれているのが『温泉で健康になる』(飯島裕一著、岩波アクティブ新書)。高温浴が虚血性障害をもたらす恐れや、逆にぬるい湯が就寝前に効果的であるといった例から温泉水が体に与える影響を紹介する。また、日本をはじめ、ドイツ、イタリア、オーストリア、チェコなどヨーロッパ各地での温泉療法の実状を報告する。
 新聞記者として医学、医療分野での取材を得意としてきた著者は、これより先に『温泉の医学』(講談社現代新書)を著している。全国各地の温泉治療の実例をもとに、専門家への取材やデータから温泉の効用を説明する。皮膚病、循環器疾患、胃腸病、慢性関節リウマチ、ストレス性疾患などが取り上げられている。
「温泉療法は、自律神経系、内分泌(ホルモン)系、免疫系などの体のひずみを整え、自然治癒力を引き出していく(もちろん、皮膚病など成分が直接作用するものもある)」が、それだけに「近代医学が得意とする数値化、集約化がしにくい宿命をもっている」と、温泉を客観的にとらえる著者は、個々の疾患の事例にあわせて科学的に解説することを心がける。
 こうした温泉の効用が研究され関心が高まっている一方、有名温泉地で温泉を人工的に白濁させたり、井戸水を沸かして温泉と偽ったりという事件が頻発し、温泉に対する信頼性を失わせている。こうした点を含め、温泉ブームのかげで「ほんとうの温泉とはなにか」という観点から、専門家は警告を発する。
『温泉法則』(集英社新書)などの著作がある温泉評論家の石川理夫氏や『これは、温泉ではない』(光文社新書)などで温泉文化論を説く松田忠徳氏は、自らの足で集めた膨大な情報と分析により、具体的な温泉名もあげながら、ときに一般に親しまれている温泉をも鋭く批評する。石川氏は、源泉(地上に湧出したそのままの温泉水)に立ち返ることを主張。また、「源泉掛け流しの湯船」の温泉(宿)に価値をおき、反対に温泉水を循環・再利用する循環湯の問題点を指摘し、その見極め方を教える。
 松田氏は、温泉施設で起きたレジオネラ菌集団感染による死亡事故などの検証から、改めて、温泉施設の衛生管理のあるべき姿を提示し、温泉のそもそもの効用や使用法に対する正しい知識なしにブームに乗って安易に作られる温泉施設のあり方を問う。循環湯での泡風呂の問題点を指摘する一方で、塩素殺菌に頼る安易な衛生管理を批判する。両氏ともに温泉施設の情報公開の必要性を強調する。
ウインドウを閉じる
<< PAGE TOP