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「情報デザイン」は比較的新しい概念である。端的にまとめるならばそれは「受け手(情報の受信者・ユーザー)の視点・観点に立った情報提示方法を考案する」ということになる。この考え方そのものは、Human Interface/Man-Machine InterfaceもしくはGUI(Graphical User Interface)などといった領域においてこれまで研究されてきたことに近いが、近年における大きな転回点は「機械やコンピュータを使う」という場面においてのみならず、「プレゼンテーション」「広告」「Web Page」などの「情報提示」の領域においても、その考え方を応用しようとしているところにある。
このような観点に基づいて最も詳細に検討され説明が行われているのが、『情報デザイン入門』(渡辺保史著、平凡社新書)である。この本の中で、渡辺は「情報を組織化する際の基準」は「カテゴリー・時間・位置・アルファベット(五十音)・連続量」の5つしかないと指摘し、それらをいかに効果的に配置するかに関して、実例をあげながら解説していく。同名の『情報デザイン入門』(木村浩著、ちくま新書)も、ほぼ同様の観点に基づいて書かれたものであるが、こちらには技術的な方法論に関しての説明が少ない。「わかりやすい情報提示」を主眼として、そのためのメソッドを「ハウツーもの」的に羅列しているものとしては『「分かりやすい表現」の技術』(藤沢晃治著、ブルーバックス)があげられるが、少々「あまりにもあたりまえのテクニック」の提示に終始しているという感は否めない。同じ著者の『「分かりやすい説明」の技術』(藤沢晃治著、ブルーバックス)は、「情報デザイン」とは少し距離をおいた内容ではあるものの「分かりやすい情報提示の方法を考える」という意味では、こちらのほうが役に立つであろう。少々異なった視点から「情報提示手法」に焦点をあてているものとして、『「情報を見せる」技術』(中川佳子著、光文社新書)がある。これは、副題に「ビジュアルセンスがすぐに身につく」とあるように、色彩デザインなどのビジュアル表現の観点から「情報デザイン」を論じたものである。これらの書籍を概観しても分かる通り、「情報デザイン」という分野には、その「本質的理解(総論)」と「技術的方法論(各論)」の2つが欠かせない。前出の渡辺著の『情報デザイン入門』は、それらがバランスを保ちつつ記述されている好著であるといえる。
しかしながら、情報デザインにおける要素技術(各論)は、「情報提示」ばかりではない。「情報収集」および「編集」さらには「情報化社会の意義」などの理解および習得が必要となるが、これらまでをも含めて「一冊で」手に入れるのは難しい。
まず、「情報収集」に焦点をあてているものとしては、『書くためのデジタル技法』(二木麻里, 中山元著、ちくま新書)があげられる。この本では、インターネット上でのデータリソースを紹介し、検索の方法や収集したデータの整理の方法について、「マニュアル本」的な説明が施されている。『情報編集の技術』(矢野直明著、岩波アクティブ新書)においても、「編集」の一つの段階としての「情報収集」に焦点をあてた説明が行われているが、「読み物」としては興味深いものの、「技術」という表現から期待される「マニュアル本」的な使い方は難しいと思われる。
次に「編集」に関しては、前述の『情報編集の技術』とともに、『知の編集術』(松岡正剛著、講談社現代新書)をあげることができる。本書では、単にマニュアル的な編集技術の説明に終始するのではなく、「編集という営み」の基本的考え方を醸成することを目指した解説が行われている。ただし、「編集稽古」と題された「レッスン」の内容は、「実用的」であるとは言いがたい。最後に、「情報化社会の意義」に関しては『インターネット的』(糸井重里著、PHP新書)が興味深い。そこには、まったくハウツーの記述やマニュアル本の要素は存在しないが、「そもそもインターネットによって情報伝達を行うということの意義は、どこに存在するのか」という問題を扱っているものとしては、異彩を放っていると言える。
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