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日本人の信仰
無宗教と誤解されている日本人。無宗教なのではなく、多宗教である日本人の宗教心、信仰心を、その源流や民俗信仰などをたどり明らかにする。
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読書ガイド
「日本人は無宗教」とよく言われるが、賽銭を投げ、自動車のルームミラーに交通安全のお守りを下げ、縁起をかつぐ日本人の心の中には、民間信仰が息づいている。自身を無宗教だと思っている日本人が、日常生活や正月、節分、節句などの行事の中で、知らず知らずのうちに実践している信仰の実態や由縁を探る。
『なぜ日本人は賽銭を投げるのか : 民俗信仰を読み解く』(新谷尚紀著、文春新書)は、賽銭を投げたり、花見をしたり、縁起をかついだりすることの、我々が忘れてしまっている訳を解説する、雑学愛好家には必読の書。著者の説によると、神社や泉に賽銭を投げるのは、身からケガレ(=死、災厄)を祓い清めるためなのだという。では、なぜ、貨幣なのか。それは貨幣がケガレを象徴するものだからであって、手切れ金や退職金のように関係を切る(=死の象徴)ときに金銭が授受されるのは、その証左なのだそうだ。「八」を末広がりと喜び、「四」や「九」を死苦を連想し忌み嫌うのは、古代人の言霊信仰の名残であり、似たようなものが互いに感応しあって結果をもたらす「類感呪術」である。他にも、<日本人が桜を愛でるのはなぜか><犬が安産の神様なのはなぜか><なぜ結婚式に祝儀を包むのか><香典の意味は>など、日本人の習慣や因習の意味を民俗学的見地から明らかにする。
『日本語に探る古代信仰 : フェティシズムから神道まで』(土橋寛著、中公新書)は記紀をはじめとする古典の単語を手掛かりに、古代人の信仰のありようを推測する。古代信仰の中心課題である「霊魂(タマ)」の観念が、研究書や注釈書では遊離魂(身体とは独立に存在する霊)とばかり理解されていて、身体と結びついた「霊力」や「呪力」の観念が理解されていないことを著者は嘆き、その例を古典の中で示していく。めでたい言葉はよい、不吉な言葉は悪い結果をもたらすとする言霊信仰は、呪力の実例である。内容はかなり専門的。
「日本人には蛇信仰がある」と言われても、驚き、眉に唾するしかあるまい。が『蛇 : 日本の蛇信仰』(吉野裕子著、講談社学術文庫)は、読後、そんなこともあるのかもしれない、という気にさせてくれる。著者の私見によると、蛇は祖先神であるとともに宇宙神、水の神であり、日本人の祖先は、蛇信仰と陰陽五行の習合として祭事を行ってきた。その論拠を蛇の生態や古語、鏡や鏡餅などの検討を通して示している。<古代日本人は蛇の脱皮こそ永生と新生をもたらすものと信仰し、縄文土器には蛇の文様が多く見られる><蛇に見たてられたものの名称には「カカ」の語が潜んでいて、案山子も鏡も蛇信仰を現す><八俣大蛇から出現した剣と蛇の目を象徴する神鏡を皇位象徴とすることや、初代神武天皇の生母が蛇であったことは、蛇信仰の根強さを示す><鏡餅はとぐろ巻いた蛇の姿>など、なんともエキサイティングな仮説に満ちている。多くは著者の推論なのだが、かたいことは抜きに、フィクションとして読めば、これほど面白い本はそうない。
『日本人の信仰 : 民族の<三つ子の魂>』(梶村昇著、中公新書)は、日本人の宗教心の鍵を「古事記」の神観念に探り、その変容を法然、親鸞、道元などの思想をたどって検証。『日本の民俗宗教』(宮家準著、講談社学術文庫)は、日本の民間信仰を宗教学の視点から体系的に理解するため、日本人の原風景、民間信仰の歴史、儀礼、物語などを解説し、「死」と「祖霊化」の問題を考察する。『日本人の宗教意識 : 習俗と信仰の底を流れるもの』(湯浅泰雄著、講談社学術文庫)は、歴史学や民俗学の素材に心理学的分析を加える「歴史心理学」の手法で、仏教の民間土着、キリシタン信仰と真宗信仰の類似など、日本思想史の低層に流れる「集合心理的伝統」を示す。
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