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日本の島々
日本の島嶼の歴史や民俗、風土、自然を紹介。世界自然遺産に登録されてから出版された屋久島に関するもの。幕末の日本と世界の狭間で揺れた小笠原諸島の歴史、古い形を残した久高島の祭りなど。
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読書ガイド
 日本は7000弱の大小さまざまな島からなる島国だが、北海道、本州、四国、九州、沖縄本島を除けば、島を対象とした新書は少ない。取り上げられないというのではなく、話題になった時点で該当する島に関する本が出るのだが、時期を過ぎると品切れのまま絶版になるケースが多い。
 2003年現在で島の新書を探すと、屋久島の本が多いが、これは1993年に日本で初めて世界自然遺産に登録されたからである。屋久島は九州一の山を持つ山岳島で、その形態や位置から、動植物に固有種が多く、南限または北限の生物も多く見られる。亜熱帯域から亜寒帯域までの植物垂直分布が観察できるのも魅力の一つで、世界遺産登録以来、人間と自然との共生をテーマにした研究やプロジェクトも集中している。
『世界の自然遺産屋久島』(田川日出夫著、NHKブックス)は、世界遺産登録直後に出版されたもので、鹿児島大学で長い間屋久島を研究してきた生物学者が、専門分野を中心に、歴史や提言を盛り込みながら解説したもの。屋久杉をはじめとする植物の特徴がわかる"屋久島の自然入門書"と言えよう。
『屋久島:巨木の森と水の島の生態学』(湯本貴和著、ブルーバックス)は1995年初版でやはり登録ブームの中での出版だが、以後版を重ねている。世界を股にかけて植物生態学を研究する著者が島の生態系の解説をした後、8つのモデルルートに沿って、観察できる動植物や棲息する環境についてわかりやすく解説をしている。「単に大型観光バスで島を一周するだけで帰ってほしくない。縄文杉や宮之浦岳山頂という目的地に急ぐだけの旅をしてほしくない。豊かな自然だけに目を奪われて、そこに住むひとたちのくらしをみないままで島を立ち去ってほしくない」という著者の訴えが印象的だ。
『世界遺産の森屋久島:大和と琉球と大陸のはざまで』(青山潤三著、平凡社新書)は、カメラマンである著者が屋久島の自然を解説したものだが、中国や小笠原諸島など国内外の自然を研究している視点からの地理的、歴史的な比較がポイント。
『日本人の魂の原郷 沖縄久高島』(比嘉康雄著、集英社新書)は、琉球第一の聖地で天孫降臨の神話の島である久高島に通い続け、島の祭りを直接取材してきた著者ならではの記録が詰まっている。12年に一度の秘祭イザイホーは、執り行われなくなってから久しいが、著者によって細かく紹介されている。祭りの基盤となる母性原理の文化が「日本人の魂の原郷」というタイトル名につながっている。
『幕末の小笠原:欧米の捕鯨船で栄えた緑の島』(田中弘之著、中公新書)では、江戸時代には"無人島"と呼ばれ、日本本土から隔絶されていた小笠原諸島について、幕末には欧米列強と日本の間で翻弄された歴史がおもに描かれている。ほとんどの日本人の意識外にあったこの小笠原諸島には、ハワイからの移住や欧米の捕鯨船の頻繁な寄港があった。そのため、幕末から明治初期にかけては、江戸幕府や明治政府がこれを日本領とするために日本人移住者を送り込むなどして外交交渉に苦労したというその成り行きが興味深い。
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