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地図
地図はものごとを空間的に理解するときの助けになる。いわば共時的に世界を把握するためのツールだ。地図にさまざまな技法があるように、その読み方もいろいろある。古地図や絵地図から歴史を読む方法、地図の歴史など。
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読書ガイド
 地図の歴史は文字より古いという。今でも未開民族が砂の上に図を描くように、先史時代は「砂地図」と呼ぶものがあり、粘土板やパピルスに描いたものもあった。日本では田図、荘園図、絵地図(古地図)と進み、ついに「伊能図」で完成を見る。そもそも地図とは何か、地図の歴史、そして現代地図から見た世界情勢の解説まで、各種の新書が出版されている。
 地図は文化のバロメーターといわれ、地図の変遷は日本をはじめ世界の歴史を知ることにつながる。『地図の歴史:日本篇』と『地図の歴史:世界篇』(いずれも織田武雄著、講談社現代新書)が入門書として最適だ。著者は歴史地理学の泰斗で、本書は1974年の初版以来重版している名著。「日本篇」は日本全体を描いた「日本図」の変遷に焦点を絞っている。現存最古の日本図である書写時代の「仁和寺蔵日本図」、わが国最初の印刷日本図である「慶長版 『拾芥抄』行基図」、外国人が日本を描いた最初のものといわれる李朝の「海東諸国紀日本図」、そして伊能忠敬の実測による科学的な地図までを詳しく説明する。このほか、「鎖国していた江戸時代に地図文化が開花した」「浮世絵師の活躍」「地球球体説・地動説が日本に伝わるのはコペルニクスから2世紀後」「今のメキシコに日本を描いてしまったヨーロッパの地図にあらわれた日本図」など、興味深い話がいっぱい詰まっている。「世界篇」では、現存する最古のものといわれるバビロンの世界図をはじめ、2世紀に活躍したプトレマイオスを軸とするギリシャ・ローマ時代、教会の影響で地理学が衰退した中世、コロンブス、マゼランなどの大航海時代、16世紀のオランダ人・メルカトルを中心とする近代と、それぞれの時代の世界図について、世界史の流れに沿って解説している。大航海時代の相次ぐ大陸発見で世界地図が書き替えられていく様子は知的興奮を誘う。
 地図にはその時代の人々の世界認識が反映されているという。日本列島の外について、昔の日本人はどんなイメージを抱いていたのだろうか。絵地図(古地図)から当時の人々の世界観をさぐったのが『絵地図の世界像』(応地利明著、岩波新書)である。前近代の代表的な「異域」(海の彼方)であった「羅刹(らせつ)国」「雁道(かりのみち)」「天竺」の3カ所に着目して推理していくというユニークな書だ。列島を取り巻く海の彼方までを描いた現存最古の「金沢文庫蔵日本図」を基に分析、「羅刹国」「雁道」は中世説話文学の代表的な作品「今昔物語集」に典拠したと考えて謎を解いていく。法隆寺所蔵のわが国最古の世界絵地図「五天竺図」から、本朝(日本)、震旦(中国)、天竺(インド)という「三国世界観」と仏教を受容していった当時の姿を浮き彫りにしている。
 古地図の研究では、律令制時代に焦点をあてた『古地図からみた古代日本:土地制度と景観』(金田章裕著、中公新書)が読み応えがある。正倉院蔵の古代荘園図などを子細に考察し、図の表現法、彩色、描かれた農業施設にまで言及。土地管理の基本となったこれらの田図によって日本の伝統的な村落景観が形造られ、地図を基本とした土地行政の基礎が固まったという。
 現代人はニュースに限らずものごとを地図のイメージでとらえる傾向が強い。人間と社会の関係を地図を媒介にして考察したのが『地図の想像力』(若林幹夫著、講談社選書メチエ)である。「私たちは社会を一つの地図的空間としてイメージしている」と書く。少々難解だが社会学者による地図研究の書は珍しい。
 このほか、現代の世界地図から民族、宗教、戦争、紛争、経済を解説しているものとして、『最新・世界地図の読み方』(高野孟著、講談社現代新書)、『「国境」から読む世界紛争史』(ロム・インターナショナル著、ベスト新書)、『世界地図から歴史を読む方法(1):民族の興亡が世界史をどう変えたか』『世界地図から歴史を読む方法(2):戦争と革命は世界史をどう塗り替えたか』(いずれも武光誠著、KAWADE夢新書)、『地名の世界地図』(21世紀研究会編、文春新書)などがあり、どれも手軽に読める国際問題の入門書になっている。
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