テーマで探す新書ガイド 新書マップ BOOK MAP web magazine [ 風 KAZE ]
>>新書マップ検索画面へ戻る
テーマ Theme
テーマ Theme
能力主義、成果主義
日本的経営の是非が問われるなか、企業が社員に対してとる、日本的能力主義や成果主義は果たして妥当なものなのか。その利点や問題点を探る。能力や成果と人事考課との関係について。
関連書籍を探す
読書ガイド
 多くの日本企業で能力主義・成果主義的制度の導入が進んでいる。その前提には、日本の企業社会は能力主義と縁遠かったという認識があるわけだが、サラリーマン個人に対する広義の能力査定が選別と処遇に深く関わっているという点で、エリート層だけではなく労働者の全階層を見る限り、欧米よりも日本のほうがより「能力主義的」であると『能力主義と企業社会』(熊沢誠著、岩波新書)は批判している。
 その上で、従来の日本企業の能力主義管理はどのような特徴があって、それを今、どのように強化、改変しようとしているのか。この変化が職場や労働生活にどのような影響を与えているのか。そして新たな能力主義管理のもとで、労働者に不可欠な働きやすい職場を確保できる余地はあるのか。本書ではこうした点について検証を試みる。
 確かに、日本企業では「職能資格制度」という独特の能力主義的制度が普及している。職務遂行能力(職能)を評価し、職種横断的にランク付けされる職能資格等級によって処遇や配置などに活用されるこの仕組みは、日本型雇用システムの核となってきた。『日本の雇用をどう守るか』(宮本光晴著 PHP新書)はアメリカ、ドイツのモデルとの比較を通じ、この職能資格制度が現在もその優位性を失っていないと論証している。
 以上の2冊は学者による著作である。これに対してみずほ証券人事部長である著者が実務家の立場から成果主義の導入に付随して発生しがちな問題点の数々を指摘しているのが『成果主義と人事評価』(内田研二著 講談社現代新書)。目標水準が低いほど達成度が高まる目標管理制度、部門別管理会計導入の結果として起こる縮小均衡と社内失業者の大量発生、新制度を導入しても運用段階でマイルドに修正されてしまう実態等々、本来社員のやる気を高め業績を向上させるための成果主義が有効に機能していない現実とその背景が具体的に提示されている。
 で、結局どうすれば会社もそこで働く個人もハッピーになれる制度を築けるのだろうか。
『リストラと能力主義』(森永卓郎著 講談社現代新書)は、人事部という組織が、その役割が終わったにもかかわらず、自分たちの中央集権主義的な立場を維持したままで、知的創造社会に対応しようと邁進している姿を「誤った能力主義化」と批判。企業内の労働市場を流動化し、労働者が自由に社内を異動できるようにする「自由と自己責任」に基づく雇用管理システムの創造を提言している。
 このシステムがどういうものかはドラマ仕立てで展開されていて、最終的に労働者が個人事業主として会社と対等に契約する形にたどり着く。つまり、労働者は「雇われ」の意識と立場からの脱皮を図らなければならない、ということだ。
ウインドウを閉じる
<< PAGE TOP