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財閥
グローバル化する世界経済の中で、創業者を頂点とした血族により形成される財閥は、21世紀に入った現在も依然として巨大な力を発揮している。ロックフェラーやロスチャイルドをはじめアジアで勃興する新興財閥まで、その系譜と実態を知る。
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読書ガイド
 戦後の財閥解体で日本ではすっかり体をなさなくなったが、世界では財閥が今日もなお国単位で、あるいはグローバルに大きな影響力を及ぼしている。
『世界財閥マップ:グローバル経済を動かすパワー総覧』(久保巖著、平凡社新書)はそうした世界の財閥を紹介した一冊。
 ロックフェラーをはじめとする欧米の歴史ある財閥から香港の李一族、フィリピンのアヤラ、インドのターター、あるいはアラブや中南米の有力ファミリーまでカバーし、中には世界ナンバーワンの小売業ウォルマートや、ヤフーの成功で一躍ビリオネアの仲間入りを果たしたジェリー・ヤンなど、財閥というにはまだ早い名前も入っている。
 とにかく登場する財閥の数が多いので、世界に存在する財閥の概要を知りたい向きに便利な一冊。
 そうした世界にあまたある財閥の中で、代表的な存在がロスチャイルドである。家紋に描かれた5本の矢のように、ヨーロッパの主要都市に放たれた初代マイヤー・アムシェルの5人の息子たちは父の遺言を守り、固く結束してときに皇帝ナポレオンと戦うウェリントン将軍に軍資金を送り、ときにはイギリスのスエズ運河株買収資金をポンと出し、ライバルを出し抜きながら最強の金融王国を築いていく。
 そんなロスチャイルド家の勃興から現在までを描いているのが『ロスチャイルド家:ユダヤ国際財閥の興亡』(横山三四郎著、講談社現代新書)。
 フランクフルトの小さな古物商兼両替商がときの権力に接近し、その途方もない経済力で国際政治に影響力を行使するまでにのし上がり、19世紀から20世紀の戦乱を乗り越えていく様子は興味が尽きない。
 金融がいかに政治判断を左右してきたか、あるいは国家に癒着して儲けるスタイルから目ざとく鉄道など産業資本へ進出し、莫大な富を得る経営判断の見事さなど、現代でも学ぶべき点がいろいろある。ユダヤ人であるがゆえの苦難や、陰謀論として語られがちなイスラエルとの関係についても触れられており、生々しい経済の側面から見た歴史入門書にもなっている。
『アメリカの経済支配者たち』(広瀬隆著、集英社新書)は財閥のネットワークが過去の遺物ではなく、現代の政治経済に多大な影響を及ぼしている事実を明らかにしている。ロックフェラーやヴァンダービルドといった財閥の遺産相続人たちがいかに閨閥でつながっているかを粘着的に明らかにし、ヘッジファンドの大物も彼らに使われる立場に過ぎないと著者はいう。
 登場する人名の膨大さと関係の複雑さ、記述の難解さを我慢すれば、なるほど、人口の1パーセントに過ぎない少数のアメリカ人が、全米の金融資産の36パーセントを独占するいびつな社会構造の背景には、こんな血とカネのつながりがあるのかと驚かされる。
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