華やかな劇場空間と美しい音楽が観客を非日常の世界へといざなうオペラは、16世紀末〜17世紀初め頃にイタリアで成立し、諸国に広まった。このオペラは、主に古代史の英雄物語を題材とし、魅惑的なアリア中心の正歌劇・悲歌劇である「オペラ・セリア」や、軽快な音楽を主とし、重唱が多い喜歌劇「オペラ・ブッファ」などのジャンルをもち、器楽、演劇、歌唱などの芸術がミックスされた総合芸術といわれている。オペラ鑑賞というと、男性はタキシード、女性はイブニングドレスといった正装のイメージがあり、どこか高尚で敷居が高い感じがするが、近年はより気軽に楽しめるようになった。オペラの魅力、歴史、ストーリー、楽しみ方、歌劇場のことなど、オペラの華麗な世界を堪能するための極意とは?
『恋するオペラ』(金窪周作著、集英社新書)は、オペラのストーリー、見どころ、聴きどころを簡潔に紹介するオペラ入門書。著者が「オペラが面白いのはメロドラマであるから」というように、本書で紹介するオペラは「セビリアの理髪師」「カルメン」「椿姫」「ボエーム」「メリー・ウィドウ」「ばらの騎士」など若い娘から年上の女性までのヒロインが登場する恋愛のストーリーで、男女のさまざまな恋愛の形をオペラ作品に見ている。本書ではストーリーの解説のほか、作品が生み出されるまでのエピソードなど、華やかなオペラの世界の舞台裏も紹介していて面白い。
19世紀のオペラの発展は数多くのオペラ劇場を誕生させた。その独特の魅力に満ちたオペラ劇場の"場"を通じてオペラ史をたどるのは『オペラの運命:十九世紀を魅了した「一夜の夢」』(岡田暁生著、中公新書)。本書は作品史としてのオペラ史ではなく、「オペラ劇場の一夜という"場"の興亡史を、時には作品を通じて、時には上演ないし受容形態を通じてたどる」とする"オペラ劇場興亡史"である。バロック時代のオペラの成立から、喜劇オペラの発展による大変革、モーツァルトオペラ、バレエを多用したグランド・オペラなど、オペラ文化がどのように発展し、衰退していったのかをオペラ劇場という"場"の歴史から考察している。
『はじめてのオペラ』(堀内修著、講談社現代新書)は、その名の通りオペラ初心者のための手引書。オペラの歴史はもちろん、チケットを手に入れる方法から歌劇場の作法まで、オペラ鑑賞に役立つ情報とオペラの魅力をまとめている。同じ著者で、季節を主題に一風変わった視点でオペラを捉えている『オペラ歳時記』(講談社現代新書)は、60以上の作品を12カ月に分け、季節とオペラを結びつけて解説するエッセイ。「贅をつくした劇場空間での一夜の悦び――オペラは楽園そのもの」と解説している『オペラ楽園紀行』(小宮正安著、集英社新書)は、19世紀のヨーロッパで誕生した「カルメン」「魔弾の射手」などおなじみの7つのオペラを紹介。「オペラの時代」といわれた19世紀を本書では、同時に「人々が楽園に憧れを寄せ、その想いを非日常の世界であるオペラの舞台に投影していった時代」としている。作品に描き出された"楽園"を探り、時代背景もからめてオペラの魅力に迫っている。
|