必要なモノが一通り満たされるようになった今、すでに市場にある商品をリファインするだけでは価格競争に陥るしかない。そこで顕在化しているニーズに対応するだけではなく、もっと潜在的なニーズを掘り起こし、ユーザーの新しい生活やクライアントの業務改善に貢献するような提案を生み出す「企画力」の重要性が高まっている。
『商品企画のシナリオ発想術』(田中央著、岩波アクティブ新書)はシナリオライティングによる企画の発想法を紹介する。
わざわざシナリオを書く目的は、現在から未来に向けて私たちがどんな生活を望んでいるのか、シナリオの形を借りて将来の生活を発想することにあると著者は語り、過去に手がけた富士写真フィルムの「写ルンです」などを例にとって商品のコンセプト作り、シナリオ作りの方法論を展開している。また、この方法論はまちづくりなど地域のデザイン化にも応用されている。
「伊東家の食卓」や「SMAP×SMAP」など担当するレギュラー番組すべての視聴率合計が200%を超える人気放送作家が、売れるアイデアを生み続ける秘訣を明かした本がその名も『視聴率200%男』(安達元一著、光文社新書)。
「時間がない」「予算がない」「タレントがうるさい」など多くの制約要因の中で、いかにして優れたアイデアをひねり出すか。著者は自分が人気番組で使ったノウハウや、間近で見たダウンタウン松本人志の発想法などを紹介しており、興味をそそられる。
だが、われわれが本書から学ぶべきはそうしたテクニックよりむしろ、13年間で580本の企画を書き採用率5%という、ボツにされても企画を量産し続けるタフさ(これでも採用率は高い方らしいが)や、ただ仲間と飲み食いするだけでも「一軒で一品食べたらお会計」を一晩中繰り返し何軒ハシゴできるかに挑戦したり、街路樹や植込みの草を引き抜いてどれを使えば美味しいチャーハンができるか試してみたりするような、日常から人が思いつかないアイデアを考え、実行に移す姿勢である。
「100のムダで役に立たないことが、1つのヒットを生み出す」を著者が信条に挙げているように、一つの優れたアイデアの背景には死屍累々のムダが隠されているのである。
それはテレビのような柔らかいイメージの世界に限った話ではなく、もっとハードなモノづくりや技術開発の世界でも同じであることが『成功にはわけがある』(畑村洋太郎監修、朝日選書)を読むとよくわかる。
本書は2足歩行ロボット「アシモ」やトロン、プラズマディスプレイなど8つの日本発独創技術の開発者にインタビューを行い、彼らがどのような着想から、どのような試行錯誤を経て、どのようなきっかけで成果にたどりついたのかを語らせている。
ただの成功物語ではなく、創造的な仕事をしている人たちの頭の中で起こっている出来事を明らかにするのが本書のコンセプトで、門外漢には難解すぎる記述が多々あるものの、一流の業績を残した人たちの思考のプロセスと試行錯誤の様子は刺激的であり、そこから得られた教訓は非常に深いものがある。
『ビジネス難問の解き方』(唐津一著、PHP新書)は企業経営に卓越したアイデアを提供してきた著者が語る問題発見と解決手順の実践論。
『「創造力戦」で絶対に負けない本』(内藤誼人著、角川Oneテーマ21)は心理学者の創造性研究のデータを、具体的なビジネス戦略に落とし込んで提示している。
|