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政治家
「末は博士か大臣か」。こんな言葉が語られたのははるか昔のこと。博士はともかく、大臣、政治家の権威は著しく失墜した。「政治家」という言葉から多くの人が抱くイメージは、企業から裏金を受け取り、国家を利用して私服を肥やす悪人だろう。いつのまにか政治家は公に奉仕するものから、売国奴になってしまった。
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読書ガイド
『代議士のつくられ方 : 小選挙区の選挙戦略』(朴喆煕著、文春新書)は「選挙制度改革」の名目で小選挙区制が導入されたのち、どのように代議士選出の内実が変化したかというリポートである。しかも、著者は韓国の政治学者であり、この本はコロンビア大学に提出された博士論文の実証パートでもある。つまり韓国とアメリカという、日本にとってもっとも縁の深い外国から見た、日本の政治家のつくられ方研究である。そしてその実態は、地縁血縁をベースにした後援会づくりという従来のどぶ板選挙の要素を多分に残しながら、その地縁血縁が希薄になる大都市にあって新たなスタイルを確立できずにいる過渡期のものである。世代の交替と社会の変化によって、これまでの保守政治家は変わらざるを得ないが、それは労組などを支持母体にしてきた左翼側も同様だ。
『イギリスの政治 日本の政治』(山口二郎著、ちくま新書)は閉塞観ただよう日本の政治状況への対案としてイギリスの政治を持ってくる。それぞれの階級を代表する2大政党による政治は、少なくとも国民の目からすると非常に分かりやすい。同じ著者による編著『日本政治再生の条件』(山口二郎編著、岩波新書)は小泉政権発足まもない時期に、各党の若手論客に日本の政治を語らせたもの。彼等は旧世代の政治家とは明らかに違うものを持っているが、たとえばイギリスの政治家と比較したとき、その粒の小ささ、ダイナミックさの欠如を感ぜずにはいられない。
『大臣』(菅直人著、岩波新書)は厚生大臣としてO-157問題、薬害エイズ事件を経験した現役政治家による大臣論。「大臣は役所の代弁者ではなく国民の代表でなければならない」という言葉があるが、当たり前のことを敢えてかかなければならないほど、大臣は官僚組織の代弁者となってしまっている実態がある。テレビなどで発言する政治家は威勢こそいいもの、政策立案能力においても、交渉能力においても、官僚に劣る。
 これまで政治家は利権の代弁者でしかなかった。「族議員」という言葉がそれを象徴している。しかし、90年代以降、政治家が利権に介入できる範囲は確実に狭まっている。その主な原因は、けっして有権者の意識が高まったからでも、政治家自身の自浄努力があったからでもない。たんに財政危機が深まったからだ。『財政構造改革』(小此木潔著 、岩波新書)や『規制改革 : 競争と協調』(川本明著、中公新書)をみると、さまざまな分野で行なわれてきた「規制」が、実は役所と族議員にとっての利権の温床となっていることがよくわかる。政治家たちは権力を恣意的に行使することで特定の業者の便宜をはかり、その見返りとして私服を肥やしてきた。
『小泉革命 : 自民党は生き残るか』(読売新聞政治部著、中公新書ラクレ)を、小泉革命が挫折したのちに読むことは実に興味深い。結局、自民党に自浄能力を期待するなど絵に描いた餅でしかない。『オーラル・ヒストリー : 現代史のための口述記録』(御厨貴著、中公新書)は政治家についての本ではないが、現代史の資料としての正確な口述記録を残すことの意義を説く。結局のところ、政治家の評価を決めるのは歴史だ。同時代的に好評だった政治家が優れているとは限らないし、多くの同時代人が「誤り」と見たことも、後年になってその評価がくつがえされることもある。
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