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地方・地域からの発信
近年注目を集める地域再生、地域活性への試みを日本各地の事例やヨーロッパでの成功例を中心にみる。県民性や「お国柄」はどのようにつくられ、利用されてきたのか。中央集権的な歴史観だけではない、さまざまな切り口からの歴史認識の必要性について。
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読書ガイド
 地方・地域の問題は古くて新しい問題であり、かつては民俗学や農村社会学の対象であったが、社会の近代化に伴う地域格差や過密・過疎の問題として取り上げられるようになり、最近では経済の低迷や地球環境問題の影響もあって、地方や地域社会が再評価されるようになった。出版界でも、人間らしい生活をめざした「地域再生」「村起こし」「まちづくり」に関するものが目立つ。一方では、「地方の時代」や「地方分権」という言葉だけが先行して実態は必ずしも地方や地域社会が主人公になっていない、という指摘も多い。いずれにしても、経済発展一辺倒の価値観からの転換が進み、情報化が進むことで、地方・地域からの発信の機会が増えていることは確かだ。
『地域再生の経済学:豊かさを問い直す』(神野直彦著、中公新書)は、工業の発展が人間生活、地域共同体を破壊し、さらに近年の工業社会の衰退が地域を動揺させている、として地域社会の再生を訴えている。再生のシナリオには、市場主義に基づくアングロ・アメリカン型(日本を含む)と市場主義に基づかないヨーロッパ型の2種類があり、著者は地域再生に成功したヨーロッパの例を紹介しながら日本でも後者の再生シナリオを採用するよう提唱している。日本における大きな問題として、地方自治体が課税自主権を奪われている点を批判、地域社会再生のためには地方自治体が自主決定権を取り戻さなければならない、と主張。具体的な税制改革や社会的セーフティ・ネットのあり方について詳しく述べている。環境と文化を重視した都市作りの例などを挙げながら、「アメリカン・スタイルは自然をむさぼる『強盗文化』」と言い切るところに著者の立場性がよく現れている。
『「地域人」とまちづくり』(中沢孝夫著、講談社現代新書)は、タイトル通り、自発的に行動を起こした個人=<地域人>による全国各地のまちづくり活動を紹介したものである。事例としては、商店街の活性化に関するものが多く取り上げられている。
 地域社会の情報化や情報ネットワークを利用した地域の活性化の事例を知るには『日本型情報化社会:地域コミュニティからの挑戦』(宮尾尊弘著、ちくま新書)がある。さらに、著者は地域情報化支援システムを分析し、その問題点を解決するために「地域情報プラットホーム」を提示している。これは、地域住民、地域企業、学校、行政機関など地域に関係する人々が自由に利用し、協動作業を行う場であり、特に、「産・官・学・民」の連携が重要であることが強調されている。
『裏日本:近代日本を問い直す』(古厩忠夫著、岩波新書)は、北陸・山陰を中心とする本州の日本海側を現す「裏日本」という言葉が日清戦争後あたりから、表日本に対して立ちおくれた地域という認識の下で使われるようになったと指摘。裏日本イデオロギーは、立ちおくれに対する劣等感や、不当で不平等な扱いに対する外部への反発など、さまざまな感情と意識を含むが、それを超えるものとして著者は内発的発展を掲げる。そして、地域の自立性重視・地方自治権強化・多様性・生活と文化重視・低成長などの方向性が目指されるべきとしている。
『東西/南北考:いくつもの日本へ』(赤坂憲雄著、岩波新書)は、民俗学がこれまで稲作文化を中心に見てきた「ひとつの日本」の視点を「いくつもの日本」という複眼的視点に変えて新たな日本像を描こうとしている。
『県民性の日本地図』(武光誠著、文春新書)は日本各地方、各都道府県別の住民の気質について歴史や風土などから解説したもので、全体的にみると、江戸時代の各藩の影響が強く打ち出されている。
『方言は絶滅するのか:ことばの言葉を失った日本人』(真田信治著、PHP新書)は、方言がどのように形を変えていくか、を検証しているのが興味深い。また、日本語教育の中に方言を含むよう提言しているのも注目される。
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