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空の安全
飛行機はなぜ飛ぶのか、そして落ちるのか。「ハイテク」機の事故はなぜ起きるのか。機体や管制システムの進歩は大事故をなくすことができるのか、新たな形の事故が起きる可能性はないのか。飛行機のメカニズム、ハイテク機のしくみ、航空管制の問題などを知る。
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読書ガイド
 絶対に安全なシステムはなく、飛行機も例外ではない。最新の科学技術を駆使した飛行機がなぜ事故を起こすのか突き詰めてゆくと、自然の脅威や航空ビジネスをめぐる状況、機械と人間との関係など、さまざまな側面が見えてくる。
『エアライン・クライシス』(杉浦一機著、平凡社新書)は、飛行機を利用する乗客の立場から書かれており、明快な文章が読みやすい。ニアミスや滑走路への誤進入が増えていること、テロによって明らかになったお粗末な空港警備などから、効率優先で安全性がおざなりにされた現状が浮かび上がる。著者は薄利多売のエコノミークラスの現状に疑問を投げかけ、乗客の価値観の多様化に対応した新たな航空文明を確立すべきだと提唱する。「評判のよくない空港」「こんな機種には気をつけよう」「エアライン別の座席配置例」など、利用者として興味を引かれる部分も多い。
 飛行機の構造や航空力学についても知りたい人には、『飛行機はなぜ落ちるか』(遠藤浩著、ブルーバックス)を薦めたい。航空安全というテーマを、自然・機械・人間の3要素に分けて分析している。乱気流や翼への着氷が失速させたり、電子顕微鏡でしか見えないほどの火山灰の微粒子がエンジンを止めてしまったりする事故例を読んでゆくうちに、飛行機のメカニズムが少しずつ分かってくる。機体の構造上の弱点、航空管制の不手際などの人為ミス、最新技術を用いたハイテク機の陥穽--と順序よく解説されている。
 同じ著者による『ハイテク機はなぜ落ちるか』(ブルーバックス)は、コンピュータ化によって引き起こされる新たな種類の航空機事故に絞った分析となっている。悪天候に左右されない自動操縦のシステムは安定性を増大させるが、突然の進入ルート変更や手動操縦と自動操縦との切り替えミスなどで、事故はたやすく起こり得る。画像や数値で示されるコックピット内のデジタル情報によって、パイロットは従来の視覚や聴覚、体感といった情報を奪われているという指摘は興味深い。航空機事故を例に、コンピュータと人間では言語や情報処理の仕方が異なることを説いた情報学の本と捉えても面白く読める。
『大事故の予兆をさぐる』(宮城雅子著、ブルーバックス)は、航空機事故について緻密に分析した研究書の趣がある。パイロット、管制官、整備士が体験した危険な事例から、事故に至る道筋や危険要因の相関性を丹念に探っており、事故に潜む人間の本質というものを考えさせられる。航空機事故のみならず複雑大規模システムの事故防止策を実証的に探った労作。
 事故におけるヒューマン・ファクターについて掘り下げた『日本航空事故処理担当』(山本善明著、講談社+α新書)は、日本航空に30年余り勤めた著者が、事故の検証と安全管理のあり方について書いている。82年の羽田沖墜落事件、機長が刺殺された99年のハイジャック事件の詳細は臨場感に富む。事故を起こした企業内部の対応や日本特有の損害賠償制度についてなど、実務家ならではの発言が重い。
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