川上高志著
岩波書店, 2022.2, 264p., (岩波新書 ; 新赤版 1915)
ISBN: 9784004319153
官邸に権力が集中した「一強」政治ゆえの驕り、忖度官僚の出現、進む国会軽視…。平成期の政治改革は当初期待された効果を上げず、権力間のバランスが崩れて、副作用ばかりが目につくようになった。なぜ政治の劣化を招いたのか。ファクトにもとづいて検証、その原因を探り、令和の時代にふさわしい新しい政治改革を提言する。
はじめに
序章 短期決戦での自民党勝利――有権者の審判から逃げた衆院選
一 選挙直前の党首交代
二 「負の遺産」隠し
三 実現しなかった与野党伯仲
第1章 平成期の政治改革――狙いは何であったのか
一 細川政権による選挙制度改革
二 橋本政権による行政改革
三 公務員人事制度の改革
四 平成期の改革の「目標地点」
第2章 総裁・首相はどのように強くなったのか――集中する権力と驕り
一 小泉政権
二 第二次安倍政権
第3章 自民党の内実はどう変わったのか――派閥の弱体化と物言わぬ議員
一 派閥の変質
二 議員活動の変化
三 手付かずの党改革
第4章 なぜ政権交代は遠のいたのか――野党の分裂と補完勢力
一 「二大政党化」の幻想
二 公明党
三 第三極政党
第5章 なぜ国会は軽視されるようになったのか――審議を嫌った政権
一 国会審議の忌避
二 実現しない国会改革
三 行政監視機能の低下
四 自由な解散権の問題
第6章 忖度官僚が出現した背景――中立性を失った官僚機構
一 小泉政権と民主党政権
二 第一次安倍政権の反省から復権へ
三 官邸主導の弊害
第7章 メディアはなぜ監視の力を失ったのか――強まる圧力と分断
一 萎縮させる圧力
二 特定メディアの選別
第8章 断たれる国民との信任関係――有権者の代表と言えるのか
一 低下する政治への期待
二 リーダーと議員の劣化
三 偏る議会の構成
四 社会を分断する政治
第9章 新・政治改革に向けて――今こそ抜本改革の議論を
一 選挙制度改革
二 公選法など現行制度の見直し
三 政党の改革
四 国会改革
五 政官関係の見直し
六 国民との信頼の修復
終章 まとめ――将来を見据えた議論を
参考文献
あとがき