山村修著
筑摩書房, 2006.7, 231p., (ちくま新書 ; 607)
ISBN: 新<9784480063045>, 旧<4480063048>
目的をもった読書にとって、よい入門書を選ぶという作業は欠かせない。 それはわかりやすい見取り図を示し、適切なチェックポイントを教えてくれるからである。 ところが、世間には入門書が溢れかえっており、その時の自分の関心やレベルにあったものを選ぶのは実はとても難しい。 その結果、迷路に入り込んでしまって、膨大な無駄を重ねることになりやすい。 では、どうすればよい入門書を選ぶことができるのだろうか。 そもそも、よい入門書とは何か。 広くて深い入門書の世界を解き明かす異色の読書論。
第1章 言葉の居ずまい(国語辞典に「黄金」を掘りあてる—武藤康史『国語辞典の名語釈』;敬語は日本語の肝どころ—菊地康人『敬語』 ほか)
第2章 古典文芸の道しるべ(社会人に語りかける古典入門—藤井貞和『古典の読み方』;古歌を読む分析的知性の強力さ—萩原朔太郎選評『恋愛名歌集』 ほか)
第3章 歴史への着地(歴史への抑えに抑えた怒り—エルンスト・H・ゴンブリッチ『若い読者のための世界史』;歴史的想像力の剣さばき—岡田英弘『世界史の誕生 モンゴルの発展と伝統』 ほか)
第4章 思想史の組み立て(世相の向こうに「近代」の醜怪をあばく—金子光晴『絶望の精神史』;考えるべきことを考えよという指針—田川建三『キリスト教思想への招待』 ほか)
第5章 美術のインパルス(たっぷりとゆたかな「小著」—武者小路穣『改訂増補 日本美術史』;江戸絵画の見かたをかえる異色の水先案内—辻惟雄『奇想の系譜』 ほか)