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中国「見えない侵略」を可視化する

読売新聞取材班著

新潮社, 2021.8, 240p., (新潮新書 ; 919)

ISBN: 9784106109195

内容

研究費は五年で二億円――「千人計画」に参加する日本人研究者は破格の待遇をこう明かす。激しさを増す米中対立を背景に、中国がいま狙うのが、「軍事アレルギー」が根強い日本が持つ重要技術の数々だ。中国人留学生による知的財産の収集、殺戮ドローンやゲノム編集攻撃といった新たな軍事技術の開発など、経済安全保障を揺るがす専制主義国家の脅威を総力取材で明らかにする。

目次

はじめに

第一章 千人計画の罠

日本人研究者四四人が「参加」/手厚い待遇「五年で二億円」/実績ある研究者を狙い撃ち/「殺戮ドローン」を作る技術も/「国防七校」にも八人の日本人/海外の最先端技術を「メイド・イン・チャイナ」に/日本の「科研費」を受領しつつ/千人計画参加のハーバード大教授を起訴/「米政府にうそをつかせる」/学術研究の自由vs.外国の介入/「米国の優位性が明確に失われている」/危機感も、規制も遅れる日本

第二章 軍民融合の脅威

新型コロナ「研究所起源説」が出た理由/民生と軍用が重なり合う「デュアルユース」/科研費も軍事研究に活用される/中国が掲げた国家戦略/「中国製造二〇二五」の重点一〇分野/最先端技術で中国軍が米軍をリード/東アジアで米軍を凌駕/開戦四日で尖閣奪取のシナリオも/中国製5Gが抱えるサイバー攻撃リスク/宇宙戦争と「はやぶさ2」/技術窃取への甘すぎる認識/「軍事アレルギー」の抜けない日本学術会議/会員「任命拒否」の一因?/千人計画に参加する元会員たち

第三章 「アプリ」「マスク」中国依存のリスク

中国企業に業務委託していたLINE/中国製アプリの「バックドア」/海底ケーブルで情報抜き取りも/中国人留学生は「知的財産の収集人」/軍事研究に関与した事例/「トロイの木馬」孔子学院/都合の悪い世論許さぬ中国/中国海洋調査船が日本領海で/空港隣接地を「買われた」/政府保有のドローンは中国製だらけ/「借金漬け」「不買運動」という武器/中国「ワクチン外交」の成果

第四章 米中デカップリング始動

大統領令でファーウェイ排除/「クリーン・ネットワーク」計画/輸出も投資も規制強化/中国に足元を見られたオバマ政権/「パートナー」から「脅威」への転換/バイデン政権での技術覇権争い/サプライチェーンを再構築/新興技術は「同盟で守る」/「本当に厳しい競争になる」/アンカレジの直接対決/香港国家安全維持法を「理解」する国が多数派

第五章 「安保は米国、経済は中国」では許されない

日本はどう対処すべきか/「経済安保」意識の低い経済官庁/国家安保局「経済班」が発足/導入された「新興・重要技術」流出対策/留学生のビザ審査厳格化も/「セキュリティー・クリアランス」/「非公開特許制度」を導入へ/「攻撃元は中国のTick(ティック)」/サイバー攻撃と新幹線/デカップリングに消極的な経済界/バイデン政権「日本重視」の狙い/楽天がテンセント出資受け入れ/繰り返される対中融和政策/「戦略的自律性」と「戦略的不可欠性」/菅首相の覚悟求めた日米首脳会談/「ゼロサム・ゲーム」の様相

おわりに

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