仲正昌樹著
筑摩書房, 2004, 221p., (ちくま新書 ; 500)
ISBN: 新<9784480062000>, 旧<4480062009>
貨幣は、ありとあらゆる“もの”の売り買いを可能にする。 性愛や人体、イメージですら、その対象となってしまう。 しかも貨幣は、私たちの「闇」に潜む欲望をかきたて続ける。 だが貨幣は、「神」や「聖なるもの」の権威が失墜した現代社会にあって、「正義」を実現させる媒体でもある。 この矛盾した性質をもつ貨幣は、私たちの「欲望」によって、「妖怪」のごとく自己増殖してゆく。 こうした中で、私たちは貨幣とどうつき合ったらいいのか? 「貨幣」的現実の深層を探り、現代社会の「正義」の臨界点を指し示す。
第1章 神なき時代の「正義」と「貨幣」(「正義」を計算する?;命に「値段」をつける現代社会 ほか)
第2章 貨幣化された世界と「私」(「無」から「価値」を創り出す錬金術;貨幣は「闇」に潜む欲望を解き放つ ほか)
第3章 貨幣から見える“真実”(「不在の貨幣」を軸にした文学作品群;貨幣に縁取られた「小さな現実」 ほか)
第4章 「正義」を創造する貨幣(正義の「メディア」としての貨幣;『海辺のカフカ』における貨幣 ほか)