
日本語の考古学
岩波書店, 2014.04, 258p., (岩波新書 ; 新赤版 1479)
ISBN: 新<9784004314790>, 旧<4004314798>
所属テーマ
内容
私たちにとっては「当たり前」のものでしかない、現代の日本語。しかし、少し時間をさかのぼってみると、その「常識」は必ずしも当てはまりません。土器のかけらを丁寧に拾い集め、刷毛できれいに土埃をぬぐう考古学者にならって、過去の日本語をつぶさに観察してみると、そこには何が見えてくるでしょうか? 本書で「発掘」の対象となるのは、写本などとして今に伝わる、かつて書かれた日本語。しかもそこに残された、書きぐせ、文字使い、改行、書き間違い-。こうした小さな小さな痕跡から、日本語学者の眼差しはたくさんのヒントを見つけ出します。
目次
はじめに
一
「書かれた日本語」の誕生 ―最初の『万葉集』を想像する
二
『源氏物語』の「作者」は誰か ―古典文学作品の「書き手」とは
三
オタマジャクシに見えた平仮名 ―藤原定家の『土左日記』
四
「行」はいつ頃できたのか ―写本の「行末」を観察する
五
和歌は何行で書かれたか ―「書き方」から考える日本文学と和歌
六
「語り」から「文字」へ ―流動体としての『平家物語』
七
「木」に読み解く語構成意識 ―「ツバキ」と「ヒイラギ」と
八
なぜ「書き間違えた」のか ―誤写が伝える過去の息吹
九
「正しい日本語」とは何か ―キリシタン版の「正誤表」から
十
テキストの「完成」とは ―版本の「書き入れ」
おわりに
あとがき