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行政、公務員
「収入が安定してクビになることがない」と言われてきた公務員。しかし財政が破綻し多くの離職者を出す自治体がでてきた。また、理不尽なバッシングにあいモチベーションが上がらず自ら辞めていく人も多い。公務員の実態とは。
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読書ガイド
 全国の公務員の数は、郵政民営化前の時点で、国と地方を合わせて400万人弱いたといわれている。不祥事や天下りの問題などによって、昨今とくに公務員は全般的に世間から批判の目で見られ、ときには公務員というだけでいわれなきクレームの対応に追われることもある。また、財政破綻した夕張市や、組織改編に加えて年金問題で国民の批判を受け続ける社会保険庁などに代表されるように、多くの離職者を出す“役所”も出てきている。
 公務員を取り巻く現状は厳しさを増しているといっていい。しかし、その一方で、小学1年生をもつ親たちが「自分の子供に将来就かせたい職業は何か」という調査では、男の子の場合第1位は、調査を始めた1992年から2008年まで「公務員」であった。((株)クラレ調査)。批判はされても民間企業に比べればまだ安定している点が評価されているということだろうか。
 こうした一見矛盾するような評価を受けている公務員とはいったいどんな職業であり、その労働実態はどうなっているのだろうか。また、将来に向けて公務員はどうなっていくのか、そしてどうあるべきなのだろうか。
 お役所に対するバッシングを取り上げた『実は悲惨な公務員』(山本直治著、光文社新書)の著者は、中央官庁のキャリアから転職した、人材紹介会社のキャリアコンサルタント。官と民の両方の仕事の経験をもとに、お役所が民間に比べて恵まれている点やお役所の論理の理不尽さ、逆に一般国民が抱いているお役所像の誤解や幻想について、「厚遇」、「天下り」、「勤務実態」、「コスト感覚」、「無責任体質」などの項目ごとに実情を紹介し、お役所に植えつけられたイメージの虚と実を示している。そのうえで、不祥事が起こるたびにマスメディアや国民から受けるバッシングとそれによって疲弊する公務員の現実や、クレーム処理や住民対応で過酷な地方自治体の現場の具体例を紹介し、お役所とマスメディア、お役所と国民のあいだの健全な関係はどうあるべきかを考察。公務員のモチベーションを損なわない、叱咤と激励を使い分けた精度の高い「新時代のお役所バッシング」を提起、公務員擁護や言い放しではなく、よりよい将来に向けた提案がコンサルタントらしい。
 この著者は、公務員向け転職支援サイトも主宰しており、自身の官から民への転職経験や転職事例をもとに、公務員の転職や官民人材流動化についてまとめたのが、『公務員、辞めたらどうする?』(PHP新書)。著者によると、公務員退職者によって書かかれた改革提言本や暴露本ではなく、「ノンフィクションとビジネス系自己啓発本を足して二で割ったものを目指し」、「民間企業への転職や起業を考えている現役公務員を主なターゲットとして書いた」本とある。「天下り」ではない転身を図ろうとする公務員向けの転職や起業の具体的なノウハウも紹介されている。
 少々過激なタイトルの『公務員クビ!論』(中野雅至著、朝日新書)は、そのタイトルから公務員批判本と思いきや、地方公務員、中央官庁、国の出先機関などを経験し、公募で大学教員になった現役公務員の著者が、公務員の将来像を考察している。十把一絡げで論じられることの多い公務員を、キャリア官僚、ノンキャリア、地方公務員に大きく分け、それぞれが抱えている問題を具体的に示し、今後公務員はどうなっていくのか、どうあるべきなのかを論じている。
 世界的に進行する公務員制度改革の流れについてイギリスを例にとって紹介し、日本の改革の現状や方向性に言及するなかで、「官民統一」から「官民流動化」を進めるべきだと主張、相互に人の行き来がないため互いの理解が進まず、相手を批判する状態が続いている「官」と「民」の枠を超えて、日本社会のために尽くす人を創り出す視点から公務員制度を眺めるべきだと言う。格差が広がり、行政サービスに対するニーズが多様化するなかで、将来の公務員はますます厳しい風にさらされるとしながらも、数多くの「やる気」のある前向きな公務員を「ひきぬかれる公務員」になれと応援する。
『新版 行政ってなんだろう』(新藤宗幸著、岩波ジュニア新書)は、政治学者で行政学や地方自治論の分野で有名な千葉大学の法学部教授により、日本の行政制度のしくみがやさしく解説されている。1998年に出版された旧版に、2000年以降の行政改革による省庁再編や地方分権の進み具合などが加筆され、この10年の大きな変化をたどりながら、主に国レベルの行政の特徴と将来に向けての課題について書かれている。若い人向けにわかりやすく伝えることを目的としているので、法律や政令、予算といった難解な規範や複雑な制度に支えられ理解することがむずかしい行政を全体としてとらえることができる。
 2000年以降の動きとして、大きく編成が変えられた中央省庁体制や行政改革後の中央省庁と地方自治体の関係、批判が強まっている公務員制度に関しての改革の焦点などが取り上げられている。また、政治と行政の関係、公共事業や福祉政策などの問題点を明らかにしつつ、暮らしに必要な行政のあり方を提示している。
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