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終末医療と尊厳死・安楽死
高度医療が一般的になった現代における終末期医療の実態と問題点について、尊厳死、ホスピス、在宅医療など、倫理的な問題に加え、理想と医療現場の実態の乖離についても触れる。
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読書ガイド
 人間は生きている限りいつかは必ず死ななくてはならない。それは太古の昔から決まったことだが、高度に発達した医療が社会生活に身近に入り込み、自然死することができなくなった現代社会では、どのような死を迎えるかが、人々にとって深刻な問題となっている。どこで死にたいか、誰に看取られたいか、終末期にどのような医療を求めるかーー死ぬ前に考えておかなければならないことは多い。
『終末期医療はいま:豊かな社会の生と死』(額田勲著、ちくま新書)では、民間病院の医師として長年地域医療に携わり多くの死を看取ってきた著者が、具体例を示しつつ現在の終末期医療の実態を、医療者側の視点から報告している。高度化した医療技術は一方でこれまで不治とされてきた難病の数々を克服し賞賛を受けたが、他方で医療は温かさを失ない、患者の尊厳を傷つけていると批判を受けている。そうした中で「安らかに死ぬ権利」が言われ、インフォームドコンセント、在宅医療、ホスピス、尊厳死などをキーワードに、患者の権利意識は高まっている。が、人の死はそれぞれがあまりに多様で具体的であり、どのような死が好ましい死なのか、普遍的一般的に規定することはきわめて困難であること、また、現在の日本の医療体制では、そうした「安らかな死」を死ねるのは一部の特権階級の人々だけである、ということが、著者の報告から浮かび上がってくる。
 延命技術の発達は緊急救命医療には福音をもたらしたが、他方で終末期にある患者が苦しむ時間を「無意味」に伸ばしているとの批判を受けている。そうした中で「尊厳死」という考え方が注目を浴びている。いったい「尊厳死」とはどういう死か?安楽死とどのように違うのか?--。『リビング・ウィルと尊厳死』(福本博文著、集英社新書)は、安楽死と尊厳死について、歴史的経緯、諸外国の実情などを丁寧に報告しつつ、考える材料を提供し、「尊厳死」という「響きのいい言葉」が独り歩きしている実態に警鐘を鳴らしている。『安楽死と尊厳死:医療の中の生と死』(保阪正康著、講談社)も安楽死と尊厳死の実態と歴史的経緯を踏まえつつ、医療制度に数々の矛盾を抱える日本社会で「死ぬ権利」という考え方が安易に取り入れられることの危険性を憂慮する。
『ホスピス:いのちと癒しの倫理学』(小原信著、ちくま新書)は、終末期医療のもう一つのあり方として期待されているホスピスについて、諸外国の実情を報告しつつ、死に行く人を看取る側が考えなくてはならない生命倫理や心構えなど、「ホスピス」という考え方について、詳しく解説している。また、『患者革命:納得の医療 納得の死』(中島みち著、岩波アクティブ新書)は、自ら癌を体験し、夫を癌で失った著者が、患者の立場から医療と法の接点にある問題に取り組んできた「患者論」である。
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