テーマで探す新書ガイド 新書マップ BOOK MAP web magazine [ 風 KAZE ]
>>新書マップ検索画面へ戻る
テーマ Theme
テーマ Theme
児童虐待
子供受難の時代だ。日々流れる児童虐待のニュース。なぜ親は子供を虐待するのか。身体的、精神的、性的など、あらゆる虐待の実態と虐待の連鎖、ゆがんだ親子関係から家族のあり方を問う。
関連書籍を探す
読書ガイド
 児童虐待とは、殴る蹴るといった身体的暴力のことだけを意味するのではない。威嚇や脅迫、または子供の存在価値を否定するような言動をとる心理的虐待、性的な行為を強要する性的虐待、ネグレクト(養育の放棄)も含まれる。2000年に児童虐待防止法が施行されて以来、全国の児童相談所などに寄せられる虐待の相談は急増している。もちろん虐待の事実は今に始まったことではなく、問題がようやく表面に表れてきただけのことだという声は多い。家庭という密室の見えない壁の中で、子供たちの心は悲鳴をあげている。なぜ子供を虐待するのか。現状とどう向き合えばいいのか。その実態を浮き彫りにすることで、ゆがんだ家族関係、虐待の世代間連鎖、トラウマ(心の傷)など、影に潜むさらなる問題が見えてくる。
『子どもをいじめるな』(梶山寿子著、文春新書)は、子供の虐待が夫から妻への暴力(ドメスティックバイオレンス)など家庭内の虐待に密接に繋がっていると考える。その理由として、虐待をする大人(親)は子供の時に虐待を受けていた場合が多いという点、また、夫婦間の暴力を目撃した子供の心の痛みは直接の虐待と変わらないほど精神的ダメージを受けるという点などをあげる。つまり子供の虐待と夫婦間の暴力は複雑に絡み合い、虐待の世代間連鎖を生むというのだ。本書は虐待された子供の目線から家庭内の暴力を考えており、その生々しい実態は子供の親に寄せる悲しいまでの純粋な愛をも伝える。そして虐待の連鎖という悲劇を断ち切るためのメッセージが込められている。
 こうした虐待の世代間連鎖や虐待を生む社会の諸事情を懸念し、子育てを支援するネットワークの活動を紹介したのが『まずは子どもを抱きしめて:親子を虐待から救うネットワークの力』(加藤曜子著、朝日選書)。本書は親子を孤立させないための地域の支援ネットワークの役割などを伝えている。
 児童虐待という現象を育児一般の文脈の中に位置付けて語るのは『<子どもの虐待>を考える』(玉井邦夫著、講談社現代新書)。本書は「まず虐待の関係が誰にでも起こりうることを納得するところから始めなければならない」と呼び掛け、虐待への理解とその対応に関する考え方を示す。虐待を受けた子供の心、虐待をする親の追い詰められた思い、そして通報する側の心理的抵抗感などを検証しており、「特別な世界の現象」と思いがちな問題を目の前にある現象のように感じさせる。「自分のしていることは虐待なのか」と悩み苦しんでいる親に向けて書かれた最終章では、子供の「存在」をほめることが大切だということを優しい言葉で伝えており、心に染みる。
 虐待を受けた子供たちは、心に深い傷(トラウマ)を抱えながら生きていくといわれる。一体、トラウマとは何だろうか。『子どものトラウマ』(西澤哲著、講談社現代新書)は、トラウマを「瞬間冷凍された体験」と表現する。その意味は「人は自らの処理能力を超える強烈な体験をした場合、心は自己を保護するためにそれを瞬間的に冷凍する。そのためその体験に関する情報は心の他の領域に影響を及ぼさなくなるが、何らかの理由でそれが解凍された場合、フラッシュバックとして生々しく心の中に侵入してくる」と説く。そして虐待とトラウマの関係として、虐待が子供にどういうトラウマを生じさせ、行動や感情にどのような影響を与えるかを考察。トラウマを癒す「再体験、解放、再統合」の3つのポイントからそのプロセスを検証している。
 児童虐待の歴史と実情を米国など海外の状況も含めてまとめているのは『児童虐待:ゆがんだ親子関係』(池田由子著、中公新書)。新聞報道による虐待事件の取り上げ方や著者が取り組む「児童虐待調査研究会」が実施した実態調査の資料などをもとに、その歴史を振り返りながら、暴力が暴力を生むという親子のゆがんだ関係を浮き彫りにしている。
『子どもと性被害』(吉田タカコ著、集英社新書)は、子どもへの性的虐待を真正面からとらえたルポルタージュ。沈黙を破り語ってくれた被害者の声を通じて、性被害の実情を訴え、性的虐待を許さない社会を作るために私たちがしなければならないことを呼び掛けている。
ウインドウを閉じる
<< PAGE TOP