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クラシック音楽入門
知らない人にとってどこか「高尚」で「難解」なイメージのあるクラシック音楽。一方、「クラシック音楽ファン」を自認していても、バッハ以前の音楽や「現代音楽」に苦手意識をもつ人は多い。名曲案内を中心に、音楽史、楽譜の読み方など「音楽の基礎」について知り、クラシック音楽をより広く鑑賞するためのガイド。
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読書ガイド
 クラシック音楽は、美しい山のようなものだ。その気高さ、雄大さに見とれるあまり、つい最高峰であるかのように思いがちだが、この山はルネサンス、バロックなどに連なるヨーロッパ音楽という山脈の一部でしかない。またジャズや現代音楽といった高峰ともつながっている。
『3時間でわかる「クラシック音楽」入門』(中川右介著、青春新書INTELLIGENCE)は、やや挑発的なタイトルだが、専門誌「クラシックジャーナル」編集長による懇切な入門書であり、音楽史がきちんと押さえてある。「クラシック」とは、もともと「古典派」の意味だ。「狭義には、バッハ晩年の一七四〇年前後から、ベートーヴェンが全盛期を迎える一八〇〇年ごろまでのあいだのヨーロッパ音楽」を指すこと、その後のロマン派の流れ、現代におけるバロックの再評価などがコンパクトにまとめられているのは見事だ。最近、親しみやすい名曲の一部を集めたCDが人気だというが、そういう寄せ集めをいくつ聴いても「本物のクラシック」にはたどり着かない、ときっぱりアドバイスしている。
「クラシック」以前、そして現代に至る「クラシック」以降の流れを知りたい人には、『西洋音楽史/「クラシック」の黄昏』(岡田暁生著、中公新書)を薦めたい。音楽は楽しむものではなく科学や哲学に近いものだったという中世に始まり、印刷技術の発達が多くの作曲家を生んだルネサンスの時代、花火や食事など祝祭の演出のために作曲されたバロック時代――とヨーロッパの歴史をひもときつつ音楽の変遷を理解することができる。ロマン派の音楽は、ロマンチックな時代の産物ではなく、産業革命や実証主義、資本家の台頭といった「無味乾燥になっていく時代」だったからこそ生まれたものだったとする考察など興味深い。現代におけるポピュラー音楽の多くが、旋律構造や和声からすれば19世紀のロマン派音楽の踏襲といってよいことを、著者は複雑な思いで書いている。西洋音楽の通史として、また「音楽の聴き方」のガイドブックとして読み応え充分の好著である。
『音楽のヨーロッパ史』(上尾信也著、講談社現代新書)は、歴史を中心に据えたところから音楽の本質に迫る。古代社会では楽器が軍事と宗教的祭儀に用いられたことや、中世絵画からわかる楽器の「序列」、宗教改革時代にはルター派はじめ宗教者たちが音楽を重視した事実など、音楽のもつ多様な側面を知ることができる。「戦争と音楽」「国歌と国家」の章は、音楽が時代をどう動かしてきたかがユニークな視点で分析されている。戦意を鼓舞し戦勝を祝う一方で、人の心を癒してきた音楽の力を深く考えさせる。
 音楽史の知識よりも、まずクラシック音楽に親しみたい人には、『はじめてのクラシック』(黒田恭一著、講談社現代新書)がいいだろう。交響曲や協奏曲をフルコースのディナーとすれば、初めは一つの楽章をアラカルトとして「つまみ聴き」したって構わない、と著者はいう。いわゆる「名盤」が自分にとって楽しめるものかどうかは分からないこと、同じ曲の演奏でも古楽器を用いた小編成のオーケストラと現代の楽器による大編成のオーケストラでは全く異なることなど、自分の好みの演奏を探していく楽しみが丁寧に語られる。巻末には、好きな音楽のタイプ別にディスク案内が付いている。
『読むクラシック』(佐伯一麦著、集英社新書)は、作家である著者がどう名曲と出合ってきたかをつづったエッセイ集。小学校の給食の時間に流れていた「アルルの女」、十六歳のとき新聞配達で貯めたお金でアルゲリッチのリサイタルに行って聴いたプロコフィエフのピアノ協奏曲第三番……。48曲にまつわるさまざまな思いに、心がやわらかくなる。
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