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憲法入門
日本国憲法が生まれて約半世紀。今、日本国憲法は大きな曲がり角にきている。日本国憲法の歴史と仕組み、思想と骨格をしっかり理解するための憲法入門書。
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読書ガイド
 護憲政党の衰退、自主憲法制定を党是とする自民党と「創憲」を謳う民主党の2大政党制への移行、自民党タカ派の小泉政権の誕生・・・。ここ10数年、憲法改定を予測させる政治的な変動が続いてきたが、2005年総選挙での小泉自民党圧勝で、一気に憲法改定が現実味を帯びてきた。改憲派は千載一遇の好機とばかりに欣喜雀躍し、危機感を募らせる護憲派は軍国主義再来の危険性をヒステリックに叫んでいる。当然、憲法に関する本が生まれる。
 憲法改定には、革命でも起きない限り、国民投票が実施される。あるかも知れない国民投票を前に、憲法について、どのような考え方があるのかを知り、最近たくさん書かれた憲法についての新書を整理し、判断の一助としたい。
 憲法というと、護憲か改憲のアルタナティヴに陥りがちであり、事実、たとえ「入門書」を謳っていても、そのどちらかに重心をおいて書かれた新書が大半である。そうした中にあって『憲法と平和を問いなおす』(長谷部恭男著、ちくま新書)は、両者の立場を超越して異彩を放つ秀逸な憲法の本である。
 著者は「立憲主義」という視点を提起して、憲法を考える端緒を読者に提示しようとする。立憲主義とは、「そもそも何のための憲法か」を問う視点であり、著者はそれを、多様な価値観を抱く人々が、協働して社会生活の便益とコストを分かち合って生きるために必要な基本的枠組みを定める理念である、と言う。多くの人は民主主義の原理は多数決であると考えているが、世の中には多数決で出すべき問題と、そうでない問題があり、その境界線を引き、民主主義がそれを踏み越えないように警備するのが立憲主義だ。つまり、いくら多数決でも、たとえば、国会議員を世襲制にするとか、一部の人々を差別するような法律は作らせないのが立憲主義である。著者はそうした視点から、平和の問題について言及している。
『憲法問題入門』(長尾龍一著、ちくま新書)も、「憲法の利用できるところは利用し、変なところはどんどん『変遷』させていくのが理性的な態度」としつつも、現憲法を一定評価したうえで、比較的中立冷静に憲法の問題点について解説している。
 護憲に重心を置いた新書の大半は岩波から出版されている。『憲法への招待』(渋谷秀樹著、岩波新書)は、〈外国人にはなぜ参政権がないのか〉〈首相の靖国参拝はなぜいけないか〉〈無修正ポルノを売ってはいけないのはなぜか〉といった24の問題を解説することで、憲法の論理が一人一人の人間の尊厳に一番価値をおくことを前提に組み立てられていることを解説する。『日本の憲法』(長谷川正安著、岩波新書)は、天皇制、戦争放棄、議会制、基本的人権の尊重など、主要な問題について、憲法の規範と現実が乖離している実態を明らかにしつつ、規範としての憲法を歴史的にとらえ、それが果たしてきた役割を考える。
 一方、改憲派の新書の大半は文芸春秋による。『憲法の常識 常識の憲法』(百地章著、文春新書)は、憲法の条文と現実にズレが生じた場合、憲法を現実に合わせるのが常識、との立場から、天皇の元首化、9条改定、人権の制約、首相の靖国参拝の正当性などを主張する。『日本国憲法を考える』(西修著、文春新書)は、現行憲法の基本原則を遵守しつつ、世界のトレンドと日本の独自性をともに斟酌する複眼的改憲の立場から、憲法の問題点を広範に指摘する。
『日本国憲法とは何か』(八木秀次著、PHP新書)は、憲法は「占領時代の世界観にもとづいてつくられた」との立場から、憲法の背後にある政治思想を明らかにした上で、天皇の元首化、家族尊重条項の新設、勤労の義務の廃止などを訴えている。
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