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教養
日本社会のなかで教養とはどのような意味があるのか。近代日本の形成との関係。教養に対する価値観の変遷、教養主義はなぜ没落したか。現代社会に必要な教養とは、など。
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読書ガイド
「教養」とは何かについての議論は多いが、それを支える要素の一つに「知ること」「学ぶこと」があるという点については異論はないだろう。これらのための手段が読書である。
 しかし、若者を中心として本が読まれなくなったと言われて久しい。なぜ読まれなくなったかというと、メディアや娯楽が多様化したこともあるが、基本的には教養に対する敬意の念が薄れてきたからだろう。教養がかつては人格形成や自己修養、社会改良のためのものであったことを考えると、教養に対する認識も変わってきたことがわかる。
 こうした変化を学生文化の変遷とともにたどり、文化的、歴史的背景から実証的に考察したのが『教養主義の没落』(竹内洋著、中公新書)である。本書では、教養主義の発祥を旧制高校におき、その《奥の院》としての帝大文学部とこれを主に支えていた農村出身層の存在を明らかにする。また、彼らのなかにあるハビトゥス(心的習性のようなもの)がどのようであったかを探る。
 教養主義を普及させた教養主義文化の最大の担い手として岩波文庫をあげ、これを仕掛けた岩波書店の創始者、岩波茂雄による出版事業の特徴を述べる。「純粋な知を追求することで象徴的利益を得る文化貴族たちにとって単なる商人でも単なる文化人でもない岩波茂雄が必要だった」と位置づける。
 教養主義は左翼思想、マルクス主義と関係が深いが、左翼・革新思想が広まる1950年代の大学キャンパスにおける石原慎太郎の左翼知識人に対する違和感や教養主義への反発についての考察も興味深い。また、全共闘世代を経て大学文化が解体し、大学がレジャーランド化していくなかで、教養主義が終焉を迎える有り様を検証。そして、昨今の学生が人格形成のために必要としているのは、ライトな感覚の「キョウヨウ」であり、「軋轢を避け、円滑な人間関係をめざしたもの」ではないかという。
「世間」との関係で教養をとらえる『「教養」とは何か』(阿部謹也著、講談社現代新書)の著者は、これまでの教養が個人単位で自己の完成を願う形になっていたと批判、世間=社会のなかでの自己の位置を知る必要を指摘する。読書による教養は個人の教養であり、教養概念の一部であるに過ぎないとし、『自分が社会の中でどのような位置にあり、社会のためになにができるかを知っている状態、あるいはそれを知ろうと努力している状況を「教養」があるという』とする。
 著者はドイツ中世史の専門家でもあり、「教養」という言葉がドイツ観念論哲学の中で徐々に作られたものと推察、ドイツにおける個人的な教養の展開を大学との関係、教養市民層の存在などから説明する。
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